#1616 あと少しはあれど、正しいスポーティを作り込んだ、三菱・エクリプスクロス。

 今年に入ってからわりとベタ褒めなモデルが、三菱のエクリプスクロス。当初は、イマドキなコンセプトにワケ分からんを覚え、RVRの代わりかと勘違いし、早過ぎる露出にもはやデザインに対して見慣れてしまった、なんて感じていました。しかし、昨年よりプロトタイプに触れる機会を得、その度に、ほほぅ、なかなかやるじゃん、そして、ふーん、いいじゃん、と、好印象へと変わっていきました。
 ただ、これまでは限られたシーン、ま、クローズドコースとか、雪の特設会場とか、公道試乗会とて限られた時間内で撮影付きだったりとか……、つまりはしっかりとは乗り込んではいませんでした。いませんでしたので、乗り込んできました。といっても、500kmほど。ただ、そのほとんどは下道で。そうしたら、見えてきました、いろんなことが。ちなみに、新型車を評価する者は、乗ってすぐに全てを把握できないようではいかんと、大先輩である星島 浩さんからいつも言われていますが、まだまだ、なんです、この点では。はい、精進いたします。
 で、エクリプスクロス。幾度も自動車雑誌に寄稿しているので、もはや書くことはなくなったと思いきや、文字数不足で書けなかったこと、個人的な強い想いやら、そのあたりについて書いてみましょうか。と言いますかね、アウトランダーPHEVの仕上がりが良くてですね、ついつい比較してしまうため、マイナス的なことをあれこれ書くことになるやもしれませんが、ま、そこはウィークポイントとは捉えずに、どうぞ。
 エクリプスクロスに使われているプラットフォームは、初代アウトランダーから使っているものに大きく手を加えたものとなっています。とても高く評価しているプラットフォームなんですが、今も昔も18インチタイヤを完全に抑え込むに不足があります。ありますけど、アウトランダー、特に今回の2019年モデルあたりでは、ダンパーの大改良と、いい巡り合わせもあって、そのあたりがかなり進化しています。ちゃんと躾けられるんだけど、そのためにはコストが必要にります。ただ、アウトランダーではコスト面はクリアできても、その手法はエクリプスクロスで用いることは難しい。価格帯が違いますから。で、何が言いたいかと言いますとね、そこに届いていないエクリプスクロスでは、日常域においてはタイヤサイズが起因した硬さが顔を出し、路面の継ぎ目や修復跡などで、ゴトゴトが出ていました。もちろん、角は取れているんですが、エンジンのしなやかたるフィーリングやら、正確性にあふれるハンドリングに対して、似合っていない。と言いながらも、これがですね、ハイスピード域へ持ち込むと硬さは和らぎ、ハイレベルの旋回性と安定性が顔を出します。そうなんですね、相当にスポーティな味付けがされていまして、ただ速いだけではなく、コントロールのしやすさがありまして、こちらを優先した(タイヤサイズセレクトも含めて)結果、乗り心地に硬さたる部分が残ってしまった、と、捉えると、すべてが納得できるのです。本性を知ってしまうと、細かなことは気にならなくなる、そんな感じでしょうかね。
 1.5Lターボガソリンエンジンは、その乗り味に実に見合っています。レギュラー仕様ですから、高回転域でのパンチは強くはありませんが、アクセル踏み込んだ時のパワーの出し方はまさにスポーティそのもの。シャシー性能に見合った、というよりレベルを合わせたレスポンスと、適切なパワーフィールが心地よさを作り上げています。さらにCVTも、エンジン回転だけ先走るようなことなく、何よりもダイレクト感があって、知らなければATと思ってしまうほど。さらにさらに、パドルシフトの操作感も、区切った8速のギア比も、いい。そして、こういったパワーユニットだと、日常が犠牲になっている……、と思いきや、発進時やらではターボゆえのトルク変動やら荒さは存在するものの、快適な発進も力強い加速もアクセルコントロール次第、つまりはドライバーの力量次第で引き出せます。そして、そして、そして、エコモードを選択しておけば、発進時はエコ優先を感じさせるというよりは、マイルドな発進加速をするように仕立てられていることのほうが強く印象に残ります。上手く仕立てたなと感心しきりです。
 気になるのは燃費ですが、数値だけピックアップすると残念ながらウィークポイントとなります。実用燃費が期待ほどではなかった。下道をいつものごとく、時にアクセルを踏み込み、時にトラックに付いていくようなドライビングで、11.5km/L。ただ、パドルシフトでギアセレクトした際、Dへの自動復帰がないためにギアをホールドしていたことが多々ありましたので、そのあたりを心掛ければ、もうすこし低燃費が引き出せたような気もします。ただ、もう少しといったレベルですが。逆に、エコモードの時はDへの自動復帰があってもいいんじゃないかと思ったりもしました。ということで、当初、乗鞍まで走っていくつもりが、燃料代を考えて八ヶ岳で引き返してきたのでした。
 で、結論。乗り心地における硬さも、ハンドリング優先とした作り込み、あの旋回性を知ってしまうと、もはや許せるレベル。シートの仕立ても、マツダには届いていませんが、サイズをしっかりと確保してあっていい。ま、ACCやらまだまだなところはありますし、価格とて、プレミアムを謳うCX-3と比較したり、フォレスターの質感と価格のバランスやら考慮すると、もう少し安くならなかったものかと思えるところも残っています。ありますが、先ほど述べたように美点のほうが多く、また、それが心に強く残るモデルでありますし、あれやこれやも、アウトランダーPHEV2019年モデルの仕上がりから判断するに、解決策はもはや見えているわけですから。
 ちなみに、三菱はこのエクリプスクロスからスマートフォン連携ディスプレイオーディオなる装備を提案してきました。これは、オーディオ(ラジオチューナー、アンプ、スピーカー)とディスプレイだけ用意し、ナビゲーションについては、スマートフォンを使ってね、というスタイルの装備。iOSでは、Apple謹製MAPでもAppleWatchを使っているとコマ地図表示と振動で右左折のタイミングを教えてくれるので、個人的に大歓迎な装備なんですが、さらにiOS12からCarPlayで、サードパーティ製のマップ系アプリが解禁されました。で、それを思い出してGoogleMapを使ってみたら、なんと、使えました(上はキャプチャー画面)。いや、別にどってことないんですが、このAppleがここまで開放するとは、時代も変わったものだな、なんてことを感じつつ……。あ、渋滞表示もしてくれていました。当たり前ですが、これも。個人的にはヤフーカーナビ派なので、早いところ対応してくれることを望みます。

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