#1614 超えられない全幅が、良くも悪くもらしさである、新型クラウン。

 新型クラウンの話を。今回は、開発者と話す機会がなかったので、その意図までしっかりとはくみ取れていませんが、結論としては、まぁ、クラウンらしさをしっかり残しながら、コネクティッドドライブといったイマドキ感を採り入れ、そして、スポーティという新たなキーワードを明確に表現できており、自動車ジャーナリスト的な発言をすれば、好印象でした。なんといっても、全幅を1800mmに止めたことのこだわりは高く評価したいと思います、いや素直に。北米マーケットをにらんでいとも簡単に1800mmを突破していったFFモデルがありますからね。ただ、数年後には、日本国内における自動車販売台数が落ち込んでいくこと、クラウンの購入層がそろそろダウンサイジングへと移る、もしくは免許返上する方が多いと考えると、このパッケージングで良かったのか、といった問いもあります。クラウンは基本的にライフサイクルは4年ではありませんしね。って、この新型、そこまで長くは考えているのやもしれませんが。
 さて、クラウン。このクルマ、良くも悪くもコンフォートライドについて語られますが、個人的にはとってもいいと評価していました。頭ごなしにフワフワと表現される方もいますが、あのストローク感こそがクラウンの骨頂であり、特にリバウンドストローク感なんぞは心地よさの極みと捉えています。ただ、先のフワフワ感を、曖昧さとごちゃまぜにされて、悪と評されることがあり、根本の意味合いは違うのに、なぜだか、自動車メーカーはそれを同義に捉えてしまい、改良、いや、違うな、変更をしてきます。そして、スポーティであること、になることが、クルマとしての正しい姿といわんばかりに、意のままにという言葉を使って、スポーティであることをウリにしてきます。
 その傾向は、ここ数世代のクラウンにも見られます。ですが、それであってもクラウンらしさをしっかりと残していましたし、そのスポーティなクラウンという像を、否定的には捉えていませんでした。で、最新型。例のサスペンションストローク感は見られなくなりましたが、それでも減ったとはいえリバウンドストロークに心地よさを残し、コンフォート感をしっかりと表現しています。それでいながら、ワインディングでは余計な動きを見せず、コーナリング中のスタンスも昨今のトヨタ車流のしっかりとふんばるスタンスを作り上げていて、それが操縦性の良さだけではなく、乗員に対して安心感を提供しているという、そんなコンフォート感まで手に入れていました。ただ、欧州車のような路面からタイヤが離れないといったフィーリングではなく、そこにもう少し課題があるのかなと感じつつ、ま、先のクラウン流コンフォート感を得るためには仕方ないところ、といった捉え方もできますから。ま、好みですな、この辺りは。
 テストドライブしたモデルのパワーユニットは、2.5Lハイブリッド。売れ筋のユニットですな。4気筒を感じさせるところは少なくなりましたが、ただ、アクセルを踏み込んだ際、つまり、ガソリンエンジンの回転数を上げた際には、音、振動ともがさつ感が顔を出しますので、そこが気になるかな、といった感じ。走り出しはかつてのV6/3.0L(昨今の3.5Lではなく)を感じさせながら、踏み込むとああー、やっぱり4気筒ベースだといった感があるなという意味で。
 さて、まとめ。全幅は1800mmに止めましたが、全長は4900mmを突破しています。ちょっと異端なサイズですな、これ。で、やはり考えるはm,どうするんでしょうね、次期クラウンということ。最新型がデビューしたばかりではありますが、次のクラウン像が見えてこないことに課題が……、って、たぶん、個人的な妄想ですが、次期型は全くといっていいほどに違うクルマに仕立てられるんだろうな、と。それこそ、レクサスGSの兄弟車的なテイストをもっと強めたモデルとかね。次期クラウンがデビューする頃に60代手前になっている自分らの多くはクラウンのほうを向いていませんから。

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