#1609 これぞ、シンプルがもたらす心地よさ、ミラ・トコット。


では、何がシンプルなのか。エクステリアデザインは、まぁ、見たとおりなので、おいといて、たとえば、インパネ。まずは、セラミックホワイト調の加飾パネルが目に飛び込んでくるんですが、そこに配置されたのはハザードランプのみ。そのほか、操作系やらは、ほかのダイハツのモデルと配置ともに大きくは変わっていないんですが、整然としている。そう、雑然としていない、ではなく、整然としている。ただ、それに感激していると、やがてステアリングのサテンシルバー調のスポーク部や、ダイハツのメッキエンブレムが気になりますが、ま、それは流用パーツゆえに仕方ない、こと。まぁ、リアシートはベンチタイプゆえに一体可倒式となり、3名乗車+荷物というレイアウトができませんが、パーソナル感が強いこのモデルにおいてそれも不要。そういった余計ともいえる、雑然を除いた結果手に入れたシンプルさがあり、それが居心地の良さを生んでいます。
ほほぅ、そのシンプルさっておは、装備とか、デザインね、と思われたかもしれませんが、これが違う。走りも実にシンプル。軽乗用車において、価格を追求したモデル(グレード)はスタビライザーレスを余儀なくされるもの。しかし、このスタビレス加減が、走りにおいては、荷重移動たる愉しさを生んでいます。そう、コーナリングにおける限界スピードは落ちるでしょう、落ちるでしょうけど、そもそもパワーを与えられていないモデルにおいては、むしろ、限界が低くなった分、パワーに対する不足を覚えることなく、そのパワー内でどうにかしよう、そんなバランスが生まれており、愉しさがあるものです。タイヤのグリップ感(力ではなく感)が分かりやすく伝わってくるとでもいいましょうかね。で、このトコットではダンパーにリバウンドスプリングを採用しており、スタビレスゆえの姿勢変化をもたらしながらも、止めるとこでは止めるといった加減があります。これがですね、とてもいい。スタビレスゆえにタイヤのグリップ感が明快になり、かといって、リバウンドスプリングによっておっとっとを感じさせることがない。走っていて感じたのですが、姿勢変化がなだらかかつ自然であるがゆえに、ステアリングをどこまで切り足していけるかが分かりやすい。クルマが曲がらないと感じさせるのではなく、まだまだ曲げられるとドライバーに伝えてくる。

乗らぬ人に限って、不便さに対して、あれこれリクエストをしてくるでしょう。しかし、そんな声には耳を傾けず、この路線を頑固にまで貫き通して欲しいな、と、そんなことすら感じました。ま、個人的には、MTがあったら、愉しいだろうな、なんてことも感じましたが。これこそ、スポーティ=MTではない、MTですな。