#1586 今はまだ買いではないと感じた、VWアルテオンとジープコンパス。

 輸入車試乗会、の続きです。どう触れようかと思って考えあぐねていたモデルがありましてね。ま、はっきり言いますと、バランスが整えられていないモデルであり、その理由は明快で、デビューしたばかりであることやら、日本仕様に仕立てるに当たっての云々にあります。今回テストドライブした中では2台、それを感じました。というわけで、まずは、VWのアルテオン。Dセグで4ドアクーペというスタイルが、ひとつの流行りとなった頃に登場したパサートCCの後継モデルですな。4ドアクーペは、スペシャルであるべきところ、パサートCCにおいては、実際にあれこれスペシャルに仕立てはいたけども、それが目に見えるカタチとして表現されておらず、で、商品としては失敗。で、その反省を踏まえて作り直しました感を全面に表現したのが、このアルテオンという流れになっています。ですから、好き嫌いはさておき、デザインや装備にそれが強く表れており、まぁ、商品性としては整えられた感がありました。ありましたし、現行型パサート好みですし、CCたるスタンスも好きですので、期待していました。期待していましたが、走行性能は期待とは大きくかけ離れていました。素性はいい、いいのに、組み合わせが……。試乗したモデルはR-Line 4MOTION Advanceで、245/35R20。シャシーのしなやかな動きの中に、違和感を覚える硬さが存在しており、それがですねコンフォートに仕立てた分、唐突感を強く意識させる。これ、アダプティブシャシーコントロールDCCを介しても、感じさせるもので、もはや、行き過ぎ感そのもの。コンフォートスポーティを語れるスペシャルであるはずのモデルなのに……。ま、日本仕様らしい仕立てなんでしょうけど、標準仕様として19インチタイヤを設定していますから……、とはいってもね、ほかのヨーロッパブランドがこのあたりもキレイに整えてきますから、もはや言い訳はできないと思います、はい。ただ、VWの熟成たる進化を期待していいと思います。いつものことですから。というわけで、今は買いではないと思います、はい。
  さて、もう1台。ジープのコンパス。乗用車ベースのプラットフォームを利用したジープの後継で、ようやくFCAオリジナルとなったモデルですな。ま、そもそも、このプラットフォーム、チェロキーやレネゲードで採用されていたものですし、走りのクオリティを求められるポテンシャルを持っている上に、その最新モデルでありますから、期待大。あとで語りますが、価格以外は期待大。期待大だったんですが、今回の試乗会でもっともがっかりした1台になってしまいました。ま、ジープユーザーでしたから、昨今のジープに対して厳しい目を持っているということもありますが、ありますが、それを除いても、ちょっと違うどこか、これではいかんを感じました。って、同乗者も同じことを言っていました。あのですね、シャシーがバラバラ。ま、多少の緩さやら、硬さは許しましょう、それがこのクルマのキャラクターになっているならば。しかしですね、それがキャラクターになっていない。レネゲードではおもしろさ、愉しさとして整えられていたのに、チェロキーでは質感という表現ができていたのに、それがまったくない。ま、キャラクターを持たせなかったというテイストならばまだしも、このクラスのスタンダードであるべきモデルたるキャラクターも見当たらない。シャシーのしなやかさたるジープらしさも、見当たらない。そして、価格。仕様やら税金やらが違うとはいえ、アメリカでは$20.995から展開されていることを考えると、そうなんですね、つまり、本来2万ドル前半のモデルであることを考えると、日本仕様の323万円からという展開には、そりゃ、そのクラスへの期待差があることは否めないわけで。
  ちなみにですね、BMWやメルセデスベンツだから、すべてのグレードで仕立てがいいというわけではありません。これは以前にも語りましたが、ミニクロスオーバーにおいては、エンジン出力、シャシー云々以前に、クーパーDよりも、クーパーSD(コンパスの後)が秀逸。というか、クーパーDのタイヤサイズが行き過ぎであるだけのことなんですが。ま、この辺りの設えは、やはり、価格帯の高いモデルほど、臨機応変に対応できているようで、この後に述べるアウディやらポルシェではさすがを感じますが。はい。

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