#1576 いいタイミングで、いいところをついてきた、スズキ・クロスビー。

 スズキ・クロスビーの話を。開発の方から言われて気付いたんですけど、クロスビーって、クロスとビーを単語と捉えて、それをひっくり返すと、ビークロスになるんですな。そうです、いすゞ・ビークロス。クロス・ビーって、響き、どこかで聞いたことあるなぁと思ったら、ビークロスだったんですね。ちょっとびっくり。というわけで、スズキ・クロスビーの話です。周囲に、その存在から商品性、はてはネーミングまで、嫌いという人は見当たらないモデルであり、モーターショーで発表されることが記された事前資料を目にした時から、とってもいいタイミングで、分かりやすいモデルをリリースするなぁと感心しきりでした。ま、その理由は実にシンプル。ハスラーで描ききれなかったボリューム感を登録車とすることで実現できていること、今流行りのクロスオーバーモデルであること、あとは、昨今のスズキ・Aセグメントモデルの優秀ぶりから想像される走行性能など、ま、悪いわけはないでしょという想いが前提にありました。
  さて、実際はどうかといえば……。あのですね、まずリアシートに座ったんですが、背もたれ上部かつドア側に配されたシートスライド&リクライニングレバーが、肩甲骨の端っこに当たる。ってか、痛い。これはないでしょ、と思って、同業者に聞いたら、当たりませんよ、だって。どうやら身長がある人だけが気付くことのようで、小柄な人には関係ない話のようです。あ、身長ではなく、座高ともいうか。で、リアシートついでに、そこから語りはじめますとね、リアシートに言える乗り味は、やっぱり、車軸上に乗っている感が強くてですね、ハーシュネスが割とダイレクトに伝わってくる。バネ下、つまりタイヤサイズが起因したバタバタ感は薄いんですが、もう少し快適性を感じ取れる味付けだといいのにな、と思うところ、少々。ま、Aセグメントモデルですからと考えると、不満には届いていませんが。
  期待の1.0Lターボ+6ATユニットは、低回転域でのトルクを確保しつつ、フラットな出力を表現しているあたりはとっても好印象。レスポンスについても不足なし。で、なにが印象に残ったって、やっぱりATでしょうな。エンジンサウンドや振動と、加速感が連動している感、つまり、従来のクルマらしさという面を含めて、やっぱりCVTよりもATだよな、を強く感じさせてくれます。ただですね、やっぱりですね、ハンドリングにいまひとつを覚えてしまう点が惜しいかなと。これは、先に触れたリアシートの乗り味よりも、惜しいと思ってしまう点。まぁ、ハンドリングフィールについては、昨今のスズキのモデルに対して言い続けていることですが、チューニングの煮詰め不足が気になる。コーナリング中のグリップ感がダイレクトに伝わってこないし、アシスト量(力)と速度域において、違和感を覚えるシーンがある。このハンドリングに対しての不足は、スイフトスポーツ含めて感じていることであり、それをここでも記していますが、実は、周囲でその話になると逆の意見が多数。自分の感覚を疑いつつも、いや、そんなことはないと思っていたところ、開発者に聞いてみると、ここ最近、パワーステアリングに関して制御を含めて一新したがゆえに、煮詰め不足があるのも、また、事実だと。やっぱりそうだったかと思いつつも、ま、A、Bセグモデルあたりにそこまで期待してはならんことも、重々承知しましたが。
  というわけで、あれこれ語ってきましたが、クロスビーに対しての評価は、いいんじゃないでしょうか、となります。色物的な意味合いを含めて、流行りに乗るのは早いほうがいい商品ですが、熟成という期待からマイナーチェンジあたりで購入するのも、また、いいかなと。個人的にはこの手の商品性をスズキのBセグメントで展開できると、おもしろくなるのではないか、と。クロスビー・ワイド、もしくは、クロスビー・ロングですな。ま、SX4にそのあたりの役割を与えたら、おもしろい商品としてもっと受け入れられるんじゃないかな、と思ったりもするのですが。ま、無理か。そういえば、開発の方から、静粛性はいかがか? と問われて、静かにする必要はなく、もっと、心踊らすようなサウンドを奏でて欲しい、つまり、うるさくてもいいとこたえたところ、うるさくてもいいなんておっしゃったのは、ヨシダさんだけですよ、と言われてしまいました。いやはや、いやはや。いやね、でもね、それもまた、そのモデルの味に繋がると思うんですけどね。

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