#1548 セダン復権たるポテンシャルあれど……、うーむ、な、トヨタ・カムリ。

 日本におけるセダンって、どうして衰退してしまったんでしょうね、と思いつつ、輸入車(ドイツ車)における人気は高くあったりしますから、実のところ、先の問題、国産車とセダンって捉え方に限定したほうがいいんでしょうかね。というわけで、セダン復権を銘打って日本市場へと登場したトヨタのカムリの話。
 スポーティな面持ちは、セダン復権といいましょうか、若い層にアピールしたいといわんばかりの仕立てであり、そこに共感できないような、できるような、不可思議な印象を持ったのですが、その走りは、デザインと異なり、生真面目といった感が前面に出ていました。そう、嫌みに通じるようなこれでもかというスポーティさたる演出はされておらず、クルマの基本性能をブラッシュアップさせた結果、スポーティさを感じるという、そんな印象とでもいいましょうか。
 なんていうんでしょうかね、TNGAによって一新されたというよりは、昨今のトヨタ車に対して評価している、荷重移動を意識的にできる操縦性、それに伴って引き出される安定したスタンスが、最新技術を用いて上手く表現されているといった感を覚えました。パワーユニットは新型ガソリンエンジンとその周辺も相まって、これまでの直4たるフィーリングにおける物足りなさを払拭しており、また、レスポンス、パワー感含めて、モーターとの協調制御も次のステップへと移行したことを感じさせるものであり、好印象。逆にいいますと、クラウンやらのアッパークラスのハイブリッドユニットとしても堂々とできるだけのポテンシャルをそこから感じたといいましょうか、そんな印象。
 ただですね、これはカムリに限らずなんですけど、デザインの行き過ぎ感、アピールし過ぎ感を覚えます。スポーティさを感じさせるのはいい、いいんだけど、そこまでは尖っていないよ、感とでもいいましょうか、そんなアンバランス感。アルファードやヴェルファイアが、デザインからは想像しえぬ、快適性を作り込んでいる話を以前しましたが、そういったアンバランス感。商品性としてはあのデザインセンスは必要なんでしょうけども、実際の走行性能はちょっと違うんじゃないかと感じる、アンバランス感。ま、このあたりは個人的な好みに左右されるところと言いましょうか、時代が求めているデザインとの走行性能との表現の仕方についていけていないだけ、という話もありますが。
 さて、カムリのまとめについて。残念ながら日本向きとは言えないサイズ感ではありますが、クルマとしての性能はいいんじゃないでしょうか。ただ、これもまた、昨今のトヨタ車の評価で出てくる言葉ではありますが、タイヤの接地感にもう少し表情が欲しいと感じてしまいます。そう、豊かさだけではなく表情そのもの。あくまでも個人的な好みレベルではありますけども。でも、まぁ、いいんじゃないでしょうか、カムリ。といいつつ、自分が欲しいクルマかと訊かれると、そうではありませんが。

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