#1514 もう少し、スバル・XVについて、語っておきましょうか、ね。

 まとまりの良さといいましょうかね、バランスがいい、整えられ過ぎている感がとっても強く残りましてね。って、それは、発表会で感じた、計算され尽くした感すらあるものでした。つまり、演出から、走行性能から、そして、デザインに至るまで。
 ま、結論としては、上手く仕立てましたね、という#1511で書いたことに流れていくわけですが、実のところ、試乗会で開発陣と話をして、それがクリアになっていったという流れもありました。そう、実は。ひとつは、X-MODEの話で、これはまた後日に語ることにして、もうひとつは、デザインについて。かつて、クラブレガシィの取材で幾度かお話をさせていただいた方がいらしていたのですが、あの頃のレガシィを懐かしむのではなく、先代XVから新型XVへのステップアップといいましょうか、比較について、あれこれと話をしました。
 すでに語りましたが、新型XVは、スバルの中でかなりウェイトを占める商品として、インプレッサの開発と同時に横でスタートしています。ちなみに、先代XVは、インプレッサがあって、それに足すという手法で、作り上げられていますから、そこに大きな違いがあります。で、素人目で眺めた時に、それがデザインの違いとなって何かを訴えてきておりまして、そこに違和感というか、なんだかわからない感を覚えたもので、少々深く聞いてみたというわけです。感じたのは、先代は良くも悪くも後付け感があって、それが愉しさを生んでいたものの、新型はあまりに整い過ぎており、クラッティングパネルにしても馴染み過ぎている、と感じまして。あまりに整い過ぎた出で立ちに対して、ハンサムになったという表現を使われていましたが、まさにそのとおり。では、先代が不細工かといえば、そんなことはなく、あれはあれでバランスが取れていました。後付け感による下品さを全くといっていいほどに感じさせない、そんなセンスに長けていました。だから、デザインが高く評価され、そこから入って、オーナーになる人も多かったんだと思います。
 で、新型。先代を超えなければ、でも、先代のテイストは残さなきゃという、期待に応えなきゃとばかりに、頑張り過ぎたんだと思います。デザイナーが愉しんで線を引いていないとは言いませんが、弾けていない感がもう少し欲しかったと思うところがあります、個人的に。たとえば、それがいちばん分かりやすいなと感じたといいましょうか、交互に眺めながら、先の感じを受けたのは、オレンジどおしで比べていた時でした。写真では同じ色合いに見えますが、実のところ、タンジェリンオレンジからサンシャインオレンジへと色合いを変えています。ただ、ですね、違いがあったとしても、クルマにおけるオレンジらしさを上手く生かしているのは先代のほう、かと。ホイールデザインも何かしなきゃいけなかった感が強く、そこに焦りのようなものを感じるし、クラッティングパネルの動き方も同じく。なんかね、なんかね、惜しい。
 ただ、一方で、フロントグリル回りをぎらつかせるのではなく、ブラックでまとめたあたりも、品を優先しているが分かりますし、主張し過ぎていない感があってとってもいい。ただ、おもしろさがない。そうなんですね、先代にあって新型にないのは、弾けるかのようなおもしろさ。って、それは表現できなかったのではなく、あえてそのイメージを抑えただけのことであり、新型に採用されたカラートーンを眺めているだけでも、それが伝わってきます。
 デザインに関わらず、先代で指摘されたのは質感における物足りなさ。予期していなかった、1クラスどころか、2クラス上のモデルを好んでいた方々に注目され、そして、その目、そのままに評価されたもんだから、たまったもんじゃない。Cどころか、Dセグの輸入車オーナーたちですな。新型はそこまで満足させようと仕立てられましたし、現に、それを十分に達成できていると思います。思いますけど、これまでのスバルといいましょうか、そこまで望んでいなかったオーナーにとっては、ちょっと敷居が高過ぎるといいましょうか、良くなり過ぎ感を覚えてしまった、と。なんて言うんでしょうかね、先代ではポップスターなるイエローを採用したモデルに、これアリだよね、を感じましたけど、新型に塗られたならば、ちょっと違うんでないか? を感じるのではないか、と。
 つまりは、あまりに先代のイメージが強過ぎたってことなんです。というわけで、しばらくすれば、あれはあれ、これはこれという捉え方ができるようになるでしょう。

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