#1506 すでに今年のベストを感じた、2世代目マツダ・CX-5。

  さて、マツダのクルマが3台続きます。そう、3台連続で借りているもので。まずは、昨年末にモデルチェンジを果たしたCX-5から。あのですね、これまでのマツダの流れ、開発陣との会話から見えていたあれこれから、悪いわけはないと思っていましたが、悪いわけはないどころではないレベルに到達していました。はい、打ちのめされました。
 まずは、デザイン。好き嫌いが分かれるとは言いますが、好みかどうかで言えば、好み。ですし、取材であれこれと眺めていたらですね、この新色の赤やら、ガンメタリックという色味そのものも仕立てが上手いんですが、マツダって、黒の使い方が上手いことに気付きました。そう、黒があっての赤。そこにアクセントとしてのメッキ加飾。昨今の国産モデルの、なんでも付ければいい的な、ゴテゴテ、いや、もっといえば、グチャグチャ感などとは全くの別物といわんばかりの、調え。そんな仕立て。
 で、シートに座ってみれば、そうだろなとは思っていましたが、そのとおりだった、シートポジション。CX-3でしっくりこないという違和感を消し、ロードスターで仕立ての良さを感じさせていましたが、その延長線上ともいえる心地良さまで作り上げていました。フットレストに左足を乗せて、ぐっとシートに腰を押し付け、ステアリングホイールに手を当てるとですね、これがですね、破綻していないんですね、言い訳が見当たらないとでもいいましょうか、そんな感じ。走り出せば、クッション性とサポート性が絶妙にこれまたバランスしていて、ここにも言い訳が見当たらない。分かりやすくいいますとね、シートという存在を消し去るかのような感触に満ちています。あえて言葉にするまでもなく、疲れない。インパネのデザインもシンプルさと質感を上手くバランスしていて、嫌みがない。いちばんの感心はセンターコンソールの仕立てでしょうかん。面といい、造形といい、高級車たる作り方という面では、レクサス以上を感じます。ま、このあたりの評価は、好みにもよるとは思いますけど。強いて言えば、不足は、ナビゲーションシステムとバックカメラの解像度とか、そんなところでしょうかね。
 ディーゼルエンジンは先代からのキャリーオーバーですが、質感が高められているといった印象で、極低回転域での唐突なトルク変動など見られず、ディーゼルターボとは思えない美しい加速をしていきます。フィーリングとしてはフラット感を大切に作り込んでいて、まぁ、最大トルク420Nmというスペックから期待されるような豪快さはありませんし、高回転域でのパンチも見当たりませんが、扱いやすさ、必要にして十二分のパワー(トルク)によって、不足やら不満はまーったくなく。まさにうっとり。ノイズは、消し去られている分、2000回転あたりの立ち上がりで耳に届きますが、いわゆるディーゼルの燃焼音的なガラガラサウンド、あれです、のどがイガイガしている時のような取り除きたい! と感じてしまうサウンドは届かずなので、いいんじゃないでしょうか。そんなことよりもなによりも実用燃費が良かった。豊かなトルクをここぞと使っているといった感、つまり、余計な燃料を消費しない、させないといったマネージメントがされており、高速走行でのパーシャルスロットル時などにそれを強く感じますし、なにより瞬間燃費計にそれが明確に表示されました。今回は取材で栃木県往復をしましたが、6割ほど高速走行だったとはいえ、取材ですから、燃費計測には不利だったにも関わらず、カタログ値である17.2km/Lを上回って18.3km/Lを記録。しかも、これ軽油ですから、燃料代にかなりのお得感があります。あれだけのパフォーマンスを持って、この燃費(燃料代)ですから、ほんとにいやはやいやはや、です。
 いわゆる走り、ハンドリングやらについては、これがバランスがいい上に、レベルが高い。オンロードをターゲットとしていることもあって、ハンドリングに明確、正確さを与えていまして、好印象。ステアリングの切りはじめからヨーの立ち上がりまでが美しいし、その後のロールへの展開の流れも、滞ることなくといった感にあふれていまして、とてもいい。ちなみに19インチタイヤを採用していましたが、バランスも上手く整えられていまして、クイック感も見当たらず。これはハンドリングだけではなく、乗り心地にも通じるところですが、サスペンションの動きが実にしなやかであり、ヨーロッパ車的。まさにうっとり。ただ、それゆえに、19インチ&55扁平というタイヤサイズがもたらす固さが角がとられているとはいえ、ダイレクトに伝わってくる感があり、しなやかに動く分、それを強く意識してしまうところがあります。しかし、それとて、先代レベルを大きく改善しており、不満があるかといわれたら、きっぱりと、ない、と言えます。
 さて、書きはじめたら止まらない。ずばり言いますとね、もはやほかの国産モデルとは横並びにできないレベルに到達しています、新しいCX-5。で、#1503にてベンチマークだと評したVWのティグアンとこのCX-5どちらを評価するかといえば、ティグアンを挙げる、かな。ただ、価格まで考慮すると、CX-5のほうを断然高く評価します。それほどにいい。強いてウィークポイントを挙げるとすれば、って、まぁ、先に書いた19インチの乗り心地かな。今回、開発陣と話をする機会をいただけなかったので、よく分からないところもあるんですが、17インチ仕様がどれだけ質感を持っているか、次第かな、この19インチの評価についても。ただ、逆にいえばですね、225/55R19サイズのタイヤを良く抑え込んでいるなといった感があり、その点はティグアン以上を感じます。
 あ、気付きました、テストドライブしたCX-5って、4WDでしたっけ。それを考えると18.3km/Lって実燃費、これ、優秀過ぎですな。そうそう、レクサスってブランド名を途中使いましたが、個人的に、クルマとしては、NXよりも評価できると感じました。ま、このあたりも好みもあってのことですが。ちなみに、新型CX-5の新色のこの赤、7万5600円高に引き上げられたそうですが、多くの人が選んでいるとか。ちなみに、有料色であるガンメタとホワイトがそれに続いており、ボディカラートップ3が有料色となっているそうで。って、そうなんですね、イイモノにはお金を出す方々が、このCX-5を選んでいるようです。そういうところを読み取ると、昨今のマツダに対して、値引きがないーとか、ディーゼルしかないー、とか、そういう見方がいかに、違っているかも、また見えてくると思います。
 あと、そうだ、メーカーオプション設定となっているBose®サウンドシステム(AUDIOPILOTTM2+Centerpoint®2)+10スピーカーは、付けたほうがいいです。あのですね、いわゆるBoseサウンドではあるんですが、これがいい。クラシックは向かないかなと思いきや、逆に定位が明確になること、ひとつひとつの音がきれいに響いてですね、たとえば、弦楽器などは、アタックから倍音までの流れが分解されて、つまり解像度が明確になり、心地イイ音を耳に届けてくれます。ま、一部グレードではありますけど、これ、8万6400円以上の価値があります。

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