#1502 ボルボらしさがしっかりと息づいていた、ボルボS90/V90。

 しばし、新車試乗記が続きます。続いては、ボルボのS90とV90。フラッグシップモデルのサルーンとステーションワゴンですな。日本では、フラッグシップモデルよりもスタンダードモデルの印象が強いボルボですが、新生ボルボにあたっては、これぞボルボといわんばかりのデザイン、フラッグシップたるパフォーマンス含め、XC90が強烈な印象を与えていますが、ま、この新型S90/V90も同様でした。って、このひとことで終えられるほどの、衝撃ぶりでした。
 なんでしょうね、このデザイン。まさに、ボルボでなければできないデザインであり、行き過ぎ感を争うかのような自動車のデザインにおいて、ああいった一瞬のトレンドとは異なる、マイペースといわんばかりのデザイン性に、うっとり。細かにいえば、黄金比を採り入れての、納得させる、心地よく感じるデザインを作り上げているとのことですが、素人的には、すべてに頷きを覚えるといった印象があり、細かなことなど分からずとも、納得させられてしまう、そんな印象がありました。
 で、走り。これがですね、なんでしょうね、これといった尖ったところがない。試乗したのは2.0Lツインチャージャーエンジンを備えたInscription。それぞれの過給機の存在と、400Nmのトルクから想像できるとおり、そのまんま。大排気量エンジン的なフィーリングそのままに備えていまして、まぁ、強いていえば、「多」気筒的なスムーズさに欠けるといった感はありますが、それ以外は十分。高回転用にターボを仕向けており、刺激もしっかりと作り上げています。とはいっても、ボルボ流の刺激なので、そのあたりのイメージは、かつてのボルボの刺激と同様と考えてもらえるといいかと思います。って、そのあたりの仕立て方もあいかわらずで、ボルボ流。タイヤは、ピレリーP ZEROで、サイズは、255/35R20を採用していましたが、これがですね、高速道路の継ぎ目などではコトンを伝えてきますし、空気圧ゆえの「硬」音質も届きます。しかし、ま、しかたないんじゃない、といったレベルであり、それよりも、このサイズながらよくぞ抑え込んでいますねといった印象のほうが強くありました。
 ならば、その分、ハンドリングがシャープになっているかといえば、それほどでもなく。そうなんですね、このあたり、かつてのボルボ流の曖昧さとは異なる、緩さがしっかりと表現されており、これもまた好印象。パイロットアシストについても、ドライバーの意と異なる間であったり、唐突感があまり見当たらず、これもまた、好印象。簡単にいいますとね、ACCとて、ターゲットが消え去って設定速度まで引き上げていくにしても、見えぬ者を追いかけるかのような、あの違和感はなく、ドライバーがいつものように加速していくといった微分しきれないアナログ感がそこにはあります。
 ウィークポイントですか、やっぱり、ボディサイズでしょうかね。初めて運転した際、左前、フロントフェンダーあたりが見づらく、やっぱりドアミラーがかなり後ろにあるなといった印象がありましたが、いつしか気にならなくなっていましたから、ま、慣れの問題なのでしょうかね。BMW5シリーズもいいですけど、このS90/V90もいいんじゃないでしょうか、つまり、どっちを選んでもいいんじゃないでしょうか、そんなことを感じました。

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