#1492 実直な走りと、スポーティなデザインに、差がある、マークX。

 そのエクステリアデザインやら広告から与えられるイメージほど、尖っていないクルマがあります。そんな1台がトヨタのマークX。BMW5シリーズを作ろうとしましたといわんばかりの初代モデルのエクステリアデザインにちょっとばかしとはいえ辟易したことを今でも強く覚えていますが、2世代目はそこにこだわらず、ま、上手くまとめたかなぁ、でも、ちょっと違うんだけどなぁ、でも、マークⅡに乗り続けてきたオーナーにとっては、待ってましたといわんばかりなんだろうなと、そんなことを感じていました。現行型で存在そのものが終了するような噂を聞いていましたので、昨年末の延命処置たるフェイスリフトには少々驚きました。あそこまでコストを掛けるってことは、まだまだ販売を続けるつもりってことですから。ま、そういったモデル、つまり、(今のところ)新型の開発を閉ざしたものの、人気から販売を止めるに止められない車種、昨今のトヨタには少なくありませんな。エスティマにしても、プレミオにしても……。
 で、マークX。随分とまぁスポーティなイメージを増した、というよりは、盛りましたなといった感があり、きっと走りも随分とそっちへと振ったんだろうと思いきや、コンフォート感をベースに仕立てたあのテイストは変わらず。緩さを捨て去って引き締まり感を得たなんてイメージすると、ちょっとどころか、かなり異なります、それ。いや、いいんです、仕立て方、とってもいいんです。でも、フロントフェイスのイメージと、乗り味は異なっていましたってことです。
 それにしても、よくぞここまでコンフォートに仕立てましたといった感にあふれていまして、好印象。素直さをベースにしながらも、そこに柔らかさに通じる快適性を加えています。その分、タイヤの接地感が薄いとか、そういった印象もありますが、ダイレクト感を追求しすぎてサルーンたる基本的な乗り味を見失っているモデルが多い中、よく仕上げているなぁと感心。エンジンにしてもそう。パンチよりも全域のトルク感と吹け上がりのジェントル感を大切に作り込んでいて、好印象。なんでしょうね、このイメージ(商品性)とのズレ。実のところ、トヨタでは、アルファード&ヴェルファイアにもそれを感じます。なんかね、実験部が目指している性能と、マーケティングとのズレとでもいいましょうかね、そんな感じがあるんです。昨今、クルマの性能としてスポーティであることがプラスに捉えられている、そんな風潮がある中、それに引きずられていないトヨタの実験部の仕立て、でもいいましょうか、そんな違いとでもいいましょうかね。
 ちなみに、燃費は300kmほど走って、カタログ燃費と同じ11.8km/Lを記録。これもまた意外なところでした。左の写真は、駿河湾を望む高台にて。メインカット用に撮影したつもりが、さすがにこれは使えないだろうと、ボツにした、そんな写真です。ちなみに、この写真、クルマ好きでも車名を当てられませんでしたが、友人のトヨタ社員に見せたところ、マークXと即答でした。さ、さすがですな。

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