#1427 昔のスバルから最新のスバルへと引き継がれたもの、……、云々。
スバルの360から次期インプレッサまで、試乗するという、とても貴重な機会をいただきました。その台数、9台、時間は短いといえども、一気乗り。これ、プレス向けの試乗会でして、これからデビューする次期インプレッサにまで息づいている、スバルの血統といいましょうか、DNAといいましょうか、根幹といいましょうか、哲学(フィロソフィ)といいましょうか、それを感じ取って欲しいという狙いが、スバル側にはありました。ありました。そう、ありましたが……、まぁ、散々、今や一時休刊となってしまったクラブレガシィを通じて散々にスバルに触れてきた者としては、少々厳しい目で見つめてしまうだろうなと、思いつつの参加となりました。
1台あたり5分前後の試乗時間ゆえに、細かくまでは観察できなかったり、はたまた、連続しての試乗だったため、すでに忘れ去っているところもありますが、今回の試乗会では、これからデビューを果たす次期インプレッサへとスバルらしさが続いていることを、感心をもって、感じた次第。それは、端的に表現すれば、素直たる操縦性でしょうな。意のままに、とは、まさにこのこと、と言わんばかりの操縦性。そこに、やがてAWDならではの安定性が加えられ、バランスさせていく、という、そんなスバルらしさですな。そういう観点からすると息づいているというよりも、進化を続けているといった表現のほうが的確かもしれませんな。
さて、そんなスバル試乗会にあって、今回、最も印象深く、最も感激したモデルは、写真いちばん上のアルシオーネでした。路面からの豊かな情報がドライバーにダイレクトに伝わって来ます。クーペ、つまりラグジュアリィテイストを与えたモデルゆえに、そのあたりは曖昧にされているかと思いきや、スポーティさを消し去ることをしておらず、コストを掛けられた時代がゆえのアッパークラス感もあいまって、まさに質感を覚えさせるもの。アルシオーネに限らず、試乗前に構えていたのは、ハンドリングにあるだろう曖昧さであったり、ボディ剛性の不足でしたが、意外にもそれらを不満に思うことはなく、それどころか、それらがしっかりと作り込まれており、感心を覚えたほど。オーバーな表現を用いますとね、絶対的なポテンシャル(数値)は最新モデルのほうが上でしょうけど、フィーリングとしては最新のモデルよりも断然いい。簡潔な表現を用いますとね、対話性があふれている。
簡単に言いますとね、クルマからの語りが直接ドライバーへとしっかりと伝わってくる、届くのですよ。たとえば、サスペンション。かつてのモデルは、舗装されていない道を走ることも求められていましたから、ストローク量が確保され、そして、ストロークすることが許されたんですね。ストロークさせることで乗り心地が確保できるし、バウンドさせることで接地性を手に入れている。いや、リバウンド時には接地性を見失いますけど、それとてドライバーに伝わってきますから、つまりは、そういうもんと認識し、そして、こんなもんだとドライバーは認識します。そう、そんな語りかけ。
コーナーもしかり。サスペンションの動きを頭ごなしに規制するのではなく、とことん優先させながらも、たずなをもってちょいちょいと、まさに緩やかに規制するといった感にあふれていまして、もう、打ちのめされました。ロールが深くなればなるほどにしっかりと伝わってくるグリップ感は、アクセルを踏み込むと、その加減が変化して伝わってきて、……、そう、そんな対話に楽しさがあふれている。そうなんですね、走らせる楽しさとは何かが存分に、そこにはあります。それは、今のクルマの、タイヤとステアリングが複雑、かつ緩衝によって繋がっている状態では、再現することはもはや無理だと感じた、そんなフィーリング(対話性)。
その対話性がいちばん色濃く存在していたのがアルシオーネだと感じたというわけです。もちろん、今回試乗した、レオーネクーペ(初代)、スバル1000、スバル360、そして、アルシオーネSVX、レオーネツーリングワゴン(スバルオリジナル最終)のいずれにも存在していました。そして、感じたのがレガシィ前と後でスバルたる乗り味に違いが生じていたことでした。それが先に書きました対話性でした。
レガシィ以降では意のままに操れる感を増していくものの、それと引き換えにされたかのように、対話性はどんどん薄められていました。そういえば、クラブレガシィで、2、3、4世代のレガシィを乗り比べる企画がありましたが、って、あれ、5世代目も入っていたかな、ま、いいや、そんな企画がありましたが、そこでも、世代が古ければ古いほどに対話性が強くあったことを思い出しました。そうなんですね、速度や安定性、操縦性という、クルマに求められるパフォーマンスを得た分、何かを失ったという感覚がありました。
今に通用するためには、高いに越したことない安全性、商品性に結びつく快適性などは、絶対的な命題であり、商品(クルマ)に織り込まなければならないことは承知しています。しかしですね、いくら最新のモデルがパノラマ感を謳うべく、あれこれと造形(デザイン)にこだわったと解説されても、かつてのモデルのように、抑えられたインパネ高とボンネットフードを見渡せるあの視界に勝るパノラマ感には勝てません。そうなんですね、パノラマ感たる本質が異なるから、致し方ない。そう、仕方ない、致し方ない。そうなんですな。
開放感がもたらす特別感といえば、アルシオーネSVXがあります。かつて、アルシオーネSVXのことを、知人たちの間で、温室、なんて表現をしていましたが、それは、手が届かぬ(価格)者たちの僻みに過ぎなかったことを強く感じました。走りに見合った、楽しさがあり、特別感がある。それはラグジュアリィなんて言葉で片づけられるようなものではなく、インテリアデザインまで含めて、まさに、カタカナ言葉を使えば、トータルでコーディネイトされた、バランスに長けたもの。今後、あの特別感を表現できるモデルは商品化することは無理でしょうな。また、シンプルさがもたらすダイレクト感こそがクルマの楽しさを表現するに最も大切なことをスバル360から改めて教わるなど、再認識はもちろんのこと、今だからこそ感じ取った発見は数多くありました。そう、今のクルマが進化とともに、置き忘れてきたあれこれと言えるものばかりですな。これもまた、致し方ないかな、と。
長く、支離滅裂な流れとなってきましたので、そろそろまとめを。そういったあれこれはありながら、そういったあれこれが、次期インプレッサにどう息づいていたか……、ですな。次期インプレッサに試乗するのは今回が初めてでした。少し前に機会をいただいていたのですが、台風来襲によって自分の試乗枠まで吹き飛ばされてしまいまして。で、今回、初めて試乗したところ、レオーネからレガシィの時のステップアップ加減を再び感じさせる、そんな変わりようを果たしていました。それは、走りの質感がアップしたという表現と同時に、懐が広くなったといった表現が的確かなと思えるようなあれこれで、乗員をフォローしてくれるではなく、ともに走って行きましょうといわんばかりのテイスト。そう、かつてにあふれていた対話性とは異なる、次世代の対話性とでもいいましょうか、そんなことを感じました。
ただ、それは、すべてにおいて曖昧さに通じる緩さはトコトン突き詰めたことで得られたもの。つまりですね、かつてにあったクルマからのいい加減でもいいじゃんといわんばかりの語りかけはさらに薄められ、と、いいましょうか、ほとんど見当たらなくなっています。いかに路面を追従させるかに長けたシャシーは、正確さと生真面目さに長けており、かつてのようなストロークフィールで語りかけてくることは、もはやありません。あの頃を知っている者として、あの頃のフィーリングが好きな者として、なんとも言えない寂しさを感じました。ただですね、今、もし、クルマの楽しさを求めるならば、ハイスペックや極めることに何かを探るのではなく、かつてを振り返ってみることが、いちばんの近道であり、そこに多くのキーがあるように感じました。はい。
と、長くなりましたが、いや、欲しくなりましたよ、余裕があるならばという条件付きではありますけど。そう、アルシオーネを。SVXでもいいです。6気筒で。
1台あたり5分前後の試乗時間ゆえに、細かくまでは観察できなかったり、はたまた、連続しての試乗だったため、すでに忘れ去っているところもありますが、今回の試乗会では、これからデビューを果たす次期インプレッサへとスバルらしさが続いていることを、感心をもって、感じた次第。それは、端的に表現すれば、素直たる操縦性でしょうな。意のままに、とは、まさにこのこと、と言わんばかりの操縦性。そこに、やがてAWDならではの安定性が加えられ、バランスさせていく、という、そんなスバルらしさですな。そういう観点からすると息づいているというよりも、進化を続けているといった表現のほうが的確かもしれませんな。
さて、そんなスバル試乗会にあって、今回、最も印象深く、最も感激したモデルは、写真いちばん上のアルシオーネでした。路面からの豊かな情報がドライバーにダイレクトに伝わって来ます。クーペ、つまりラグジュアリィテイストを与えたモデルゆえに、そのあたりは曖昧にされているかと思いきや、スポーティさを消し去ることをしておらず、コストを掛けられた時代がゆえのアッパークラス感もあいまって、まさに質感を覚えさせるもの。アルシオーネに限らず、試乗前に構えていたのは、ハンドリングにあるだろう曖昧さであったり、ボディ剛性の不足でしたが、意外にもそれらを不満に思うことはなく、それどころか、それらがしっかりと作り込まれており、感心を覚えたほど。オーバーな表現を用いますとね、絶対的なポテンシャル(数値)は最新モデルのほうが上でしょうけど、フィーリングとしては最新のモデルよりも断然いい。簡潔な表現を用いますとね、対話性があふれている。
簡単に言いますとね、クルマからの語りが直接ドライバーへとしっかりと伝わってくる、届くのですよ。たとえば、サスペンション。かつてのモデルは、舗装されていない道を走ることも求められていましたから、ストローク量が確保され、そして、ストロークすることが許されたんですね。ストロークさせることで乗り心地が確保できるし、バウンドさせることで接地性を手に入れている。いや、リバウンド時には接地性を見失いますけど、それとてドライバーに伝わってきますから、つまりは、そういうもんと認識し、そして、こんなもんだとドライバーは認識します。そう、そんな語りかけ。
コーナーもしかり。サスペンションの動きを頭ごなしに規制するのではなく、とことん優先させながらも、たずなをもってちょいちょいと、まさに緩やかに規制するといった感にあふれていまして、もう、打ちのめされました。ロールが深くなればなるほどにしっかりと伝わってくるグリップ感は、アクセルを踏み込むと、その加減が変化して伝わってきて、……、そう、そんな対話に楽しさがあふれている。そうなんですね、走らせる楽しさとは何かが存分に、そこにはあります。それは、今のクルマの、タイヤとステアリングが複雑、かつ緩衝によって繋がっている状態では、再現することはもはや無理だと感じた、そんなフィーリング(対話性)。
その対話性がいちばん色濃く存在していたのがアルシオーネだと感じたというわけです。もちろん、今回試乗した、レオーネクーペ(初代)、スバル1000、スバル360、そして、アルシオーネSVX、レオーネツーリングワゴン(スバルオリジナル最終)のいずれにも存在していました。そして、感じたのがレガシィ前と後でスバルたる乗り味に違いが生じていたことでした。それが先に書きました対話性でした。
レガシィ以降では意のままに操れる感を増していくものの、それと引き換えにされたかのように、対話性はどんどん薄められていました。そういえば、クラブレガシィで、2、3、4世代のレガシィを乗り比べる企画がありましたが、って、あれ、5世代目も入っていたかな、ま、いいや、そんな企画がありましたが、そこでも、世代が古ければ古いほどに対話性が強くあったことを思い出しました。そうなんですね、速度や安定性、操縦性という、クルマに求められるパフォーマンスを得た分、何かを失ったという感覚がありました。
今に通用するためには、高いに越したことない安全性、商品性に結びつく快適性などは、絶対的な命題であり、商品(クルマ)に織り込まなければならないことは承知しています。しかしですね、いくら最新のモデルがパノラマ感を謳うべく、あれこれと造形(デザイン)にこだわったと解説されても、かつてのモデルのように、抑えられたインパネ高とボンネットフードを見渡せるあの視界に勝るパノラマ感には勝てません。そうなんですね、パノラマ感たる本質が異なるから、致し方ない。そう、仕方ない、致し方ない。そうなんですな。
開放感がもたらす特別感といえば、アルシオーネSVXがあります。かつて、アルシオーネSVXのことを、知人たちの間で、温室、なんて表現をしていましたが、それは、手が届かぬ(価格)者たちの僻みに過ぎなかったことを強く感じました。走りに見合った、楽しさがあり、特別感がある。それはラグジュアリィなんて言葉で片づけられるようなものではなく、インテリアデザインまで含めて、まさに、カタカナ言葉を使えば、トータルでコーディネイトされた、バランスに長けたもの。今後、あの特別感を表現できるモデルは商品化することは無理でしょうな。また、シンプルさがもたらすダイレクト感こそがクルマの楽しさを表現するに最も大切なことをスバル360から改めて教わるなど、再認識はもちろんのこと、今だからこそ感じ取った発見は数多くありました。そう、今のクルマが進化とともに、置き忘れてきたあれこれと言えるものばかりですな。これもまた、致し方ないかな、と。
長く、支離滅裂な流れとなってきましたので、そろそろまとめを。そういったあれこれはありながら、そういったあれこれが、次期インプレッサにどう息づいていたか……、ですな。次期インプレッサに試乗するのは今回が初めてでした。少し前に機会をいただいていたのですが、台風来襲によって自分の試乗枠まで吹き飛ばされてしまいまして。で、今回、初めて試乗したところ、レオーネからレガシィの時のステップアップ加減を再び感じさせる、そんな変わりようを果たしていました。それは、走りの質感がアップしたという表現と同時に、懐が広くなったといった表現が的確かなと思えるようなあれこれで、乗員をフォローしてくれるではなく、ともに走って行きましょうといわんばかりのテイスト。そう、かつてにあふれていた対話性とは異なる、次世代の対話性とでもいいましょうか、そんなことを感じました。
ただ、それは、すべてにおいて曖昧さに通じる緩さはトコトン突き詰めたことで得られたもの。つまりですね、かつてにあったクルマからのいい加減でもいいじゃんといわんばかりの語りかけはさらに薄められ、と、いいましょうか、ほとんど見当たらなくなっています。いかに路面を追従させるかに長けたシャシーは、正確さと生真面目さに長けており、かつてのようなストロークフィールで語りかけてくることは、もはやありません。あの頃を知っている者として、あの頃のフィーリングが好きな者として、なんとも言えない寂しさを感じました。ただですね、今、もし、クルマの楽しさを求めるならば、ハイスペックや極めることに何かを探るのではなく、かつてを振り返ってみることが、いちばんの近道であり、そこに多くのキーがあるように感じました。はい。
と、長くなりましたが、いや、欲しくなりましたよ、余裕があるならばという条件付きではありますけど。そう、アルシオーネを。SVXでもいいです。6気筒で。