#1419 今に通用するあれこれと、過去のいいところを併せ持った、エスティマ。

先日、取材でそのエスティマをチェックしてきたのですが、これが良かった。いや、10年前に設計されたモデルゆえの古さは残っています。残っていますけど、まじめに改良してありましてね、ちょっと感心しました。あ、走りです。デザイン、装備については、いつものごとく二の次で……。すみません。
試乗したのは、ハイブリッドの最上級グレードで、走りに関するアイテムとしては、リアをモーターを用いて独立して駆動するE-Four、17インチタイヤ(ハイブリッドは全て)、フロントパフォーマンスダンパーの採用がありますかね。走りに関する改良ポイントは、コイルスプリングをはじめとしたサスペンションとされていますが、これですね、シャシー剛性が上がっているフィーリングがありまして、ジオメトリーの見直しも含めて、タイヤが路面にしっかりと接地している、つまり接地感があります。なので、走り出しから、路面をしっかりと捉えるという安定性を感じますし、さらにサスペンションの動き出しがきれいで、路面からの入力を確実にいなす。しっとり感とでもいいましょうか、そんなフィーリング。ただですね、やっぱり、バネ下が重いこともあるのかな、路面が荒れたといいましょうか、継ぎ接ぎのあるシーンやら、有料道路(高速道路ではなく)の継ぎ目やらにおいては、ドタンが、振動と音を伴って出てきます。それは、タイヤのケース剛性だけではない印象です。とはいっても、振動が残ることがなく、格別にボディ剛性が高いとは感じないものの、そのあたりは自ら高級を謳うだけの仕立てに整えてありました。

コーナーでは、ロールスピード、量ともに実に的確にコントロールされていまして、ゆっくりとも素早くとも言えぬ、いい感じで、ロールさせて、そのコーナーと車速に見合った姿勢を作ります。で、ここで感じるのはリアサスペンションの落ち着き。粘りというよりは落ち着き。任せておきなさい、といわんばかりの落ち着き。そして、余計な動きをさせることなく、コーナーを駆け抜けていきます。これ、ドライバーはもちろんですが、乗員がいちばん驚くんじゃないかなといわんばかりのフィーリング。いや、快適性。
と、書きはじめたら、止まりません。何よりも感心したのは、アクセルペダルの踏み込み量によるパワー量の表現でしょうか。いや、さっと出るとか、加速がいいとか、そういうレベルの話ではないんです。つまり、イマドキではないんです。わずかな踏み込みに対して、さっと出さない。もう少し踏んでも、がっと加速しない。そうなんですね、エスティマのアクセルワークは穏やかな走らせ方を優先しているのです。そして、アクセルペダルからの反力を感じるようになるところから、加速に必要なパワーを発生させてくる、と。いやー、実にいい。とてもいい。このアクセルとパワーフィールのスタンスは、もはや過去のものであり、昨今のモデルには見られなくなったフィーリングとも言えます。しかし、あえて残したのは、基本設計が古いからなのか、エスティマだからなのかは分かりませんが、いずれにしても、好印象です。ちなみに、全く逆のフィーリングに仕立てられている我が家のフィエスタに乗り換えたら、飛び出し感に翻弄されてしまい、もう扱い難いのなんのって、なんてことを感じたほどでしたから。
