#1405 1.2Lターボ+EDC搭載に止まらず、走りにも美点がある、ルノー・カングー。

 もはや、ここまで人気がありますと、ノーマークとは表現できず、世間に対するアンチテーゼ的ともいえず、唯一無二的な支持を得ている、ルノーのカングー。周囲にも、カングー乗りは多くてですね、って、1.2Lターボ+MTになってからふたりが購入しています。現行型の初期モデルに乗っている人もいます。ま、皆、ちょっと変わっています。いや、ヘンって意味合いではなくって、それぞれにライフスタイルがあるといいましょうか、センスを含めて、オモシロイ生き方をしている人々ですな。で、そんなカングーの1.2Lターボに6速EDC(デュアルクラッチ式の2ペダルMT)が登場。これまでの2ペダルモデルは4速でしたから、6速になったこと(プラス1.2Lターボエンジン)で、燃費は大幅に改善、というわけですな。つまりは、カングーのウィークポイントが払拭されたわけです。
 そもそもヨーロッパではMTが主流な上に、あちらのカングーは、日本のようにここまでの市民権を得ていないこともあって、2ペダル仕様は軽視され、1.6LNA+4ATのまま半ば放置されていたわけですが、日本市場からの強いアピールによって、1.2Lターボ+6速EDCモデルが実現し、さらには、日本向け仕様がいちばん最初に生産されたという異例づくしだったとか。
 ま、そんなカングーに乗るために、試乗会へと出掛けたのですが、1.2Lターボ+EDCはルーテシアやキャプチャーで体感済みでしたから、なんとなくの予測はできていました。できていたはずなのですが、その期待を裏切られた。あのですね、良かったんですよ、これが、とっても。シャシーセッティングがですね、重量やらを合わせただけではなくて、その先へ行っていました。そもそも、カングーの乗り味は緩さあふれるものであり、動きを許し、ロールを許し、でも、緩すぎを許さないかのようにスタビリティを与えているという、なんとも、好き嫌いが明確に分かれる乗り味でした。
 ところがですね、スタビリティがアップしていた。具体的なロールフィールが改善されていまして、相変わらずの重心高があるがゆえのボディの重たさを感じ、ヨーが残るという、あのフィールはあります、ありますけど、その加減がかなり抑えられていて、好印象。EDCのチューニングもなかなかで、重量のあるモデルなりにトルクバンドを上手く使いこなしつつ、マニュアル操作でのレスポンスも楽しめるという、優秀ぶりを披露。ミシュランのエナジーセイバーを上手くはきこなしているといえば、伝わりやすいでしょうかね。つまりですね、走りが楽しかった。
 で、この乗り味について聞いたところ、どうやら、EDC搭載にあたってチューニングするにおいて、ただ、車両重量やら、重量配分による差分を整えただけではないようだ、とのこと。そして、たんなる1.2Lターボ+EDCというよりも、フラッグシップ的なテイストも感じられました。そうなんですね、259万円という価格に対して、乗るまではちょっと高いかなと思っていましたが、乗ったところ、この価格、十分ありだなと感じました。
 ちなみにですね、この1.2Lターボ+EDCモデル導入直前、ディーラーではその存在を明らかにしたにも関わらず、1.6L+ATは、それはそれで売れたそうで。そうなんですね、たかが17万5000円差、されど17万5000円差ってのも大きかったようです。

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