#1375 とってもいい、八王子にある小さな洋菓子屋さん、ハナユラカヒミ。

引っ越すといつものことなんですが、その街を探ろうとあちこち走り回り、歩き回ります。で、この店舗の前も、そんな時に通過したのか、目にしていました。ただ、地味とも異なる大人しい雰囲気が感じられる店構えから、ちょっと入りづらさを感じながらも、そこには何かあるに違いないという勘が湧き上がっていました。そう、何か、ある、と。

このハナユラカヒミは、作る、そして売ることを、すべてひとりで手がけています。それは自分の責任とか、人に任せたくないということからではなく、作り手がお客様の手に渡すまで、つまり、最初から最後までに携わることでその洋菓子は完結するという、まさに壮大な世界観があるから。で、それを演出しているのが、店舗の雰囲気であり、ディスプレイ、である、と。ま、そんな感じ。いうまでもなく、作り手は、洋菓子との対話を愉しんでいますし、それがストレートに洋菓子に表現されています。
そんな洋菓子ですから、着飾っていません、直球的に飛び込んできます。そう、飛び込んできますので、食す時も、こちらは覚悟というか、準備が必要です。味わうという、準備が。で、その味わいは、イマドキな都会のオシャレな店舗の、よく分からない雰囲気勝負のお上品さではなく、いい素材を使って、丁寧に作っている感にあふれたもので、なんていうんでしょうかね、味そのものにレイヤーがないわけではないんですが、作り手の想いによって素材の良さが引き出されて、それがこちらにドンッと伝わってくる感じ。ま、簡単にいいますとね、カスタードクリームなんて、もう最高でして、味わえば味わうほど底へと落ちていく、いや、落とされていくような奥深さがあります。毎回、驚かされる。いや、引き込まれる、いやいや、底のほうへと落とされる。そして、その底は、どんどん深まるばかりって感じの底。簡単な表現ではなくなりました、簡潔にいうとですね、それはごまかしのない本質で勝負しているといった味わい、でしょうかね。焼菓子は、どっかで聞いたことある名称のものであっても、強いんだけど柔らかいという不可思議な個性を与えていました。なので、むしゃむしゃとは食べられない。ひと口かじっては味わって、驚いて、味わって、驚いて、味わって、驚いて、そしてふた口目へいく、と、まぁ、そんな感じ。

あ、左の写真は、昨年末に、知人宅で行われたクリスマスパーティで持っていたブッシュドノエル。こういうリクエストにも応えてくれるスタンスも、ハナユラカヒミを気に入っていた理由のひとつでした。