#1371 かつてヨシダイチオシだったフォード・クーガは、今でもイチオシか。

 ここの過去を読み返してみたら、かつてのヨシダイチオシはフォードのクーガでした。そういえば、そうだったと思いつつ、変わってしまっていたのはいつのことやら。というか、忘れてしまっていたんでしょう、きっと。
 というわけで、フォードのモデルの乗り味を体に覚えさせておこうと、クーガをテストドライブすることに。あのですね、いいです、とんでもなくいいです。かつてにも書いていますが、ハンドリングの素晴らしさは、もはやライバル不在といった感すらあります。で、かつては、それがなぜかを上手く表現できずにいましたが、今となっては、それを語れます。あのですね、ステアリング系の支持剛性がすこぶる高い、というか、高すぎる。その上で、操舵時のボディの変形がすこぶる抑えられています。
 だからなんです、ステアリングホイールから、リンケージ、そしてタイヤまでが、見透かせてしまうかのような、ダイレクト感にあふれているのは。ただし、ただですね、ステアリング系にまつわる曖昧部分、たとえば電動パワーステアリングであったり、ブッシュであったりは、割と緩さがあるのもまた事実。あります、ありますけど、様々な応力に振り回された複雑なものではなく、わりと単純な曖昧さとなって残っているために、リズムは掴みやすい、のだ、と。
 あのですね、この曖昧さあたりを抜き去ったモデルは、スポーティを謳うモデル、ブランドにはみられますけど、フロアが透けてタイヤが見えるかのようなダイレクト感にあふれたモデルは見当たりません(いや、あるけど)。というぐらいに、スゴイ。タイヤがどのぐらい切れているのか、路面がどうなっているかがダイレクトに伝わってくる。もちろん、グリップ感もトレース性もすこぶる高くて対話性にあふれていまして、なんだこりゃ、すごいと勝手につぶやいてしまうほど。
 かといって、ボディ全体が剛性感にあふれているというわけでもありません。大型ガラスルーフが付いていることもありましたが、上屋の剛性感は物足りなさを感じることもありました。そうなんです、上屋は、ね。で、後で気付いたんですが、上屋の剛性が不足しているんじゃないんですね、下半身の剛性を意図的に優先して作り上げているがゆえに、相対的にそう感じたに過ぎないと。いずれにしても、下半身がっしりといいましょうか、どっしりといいましょうか、そんな作り込みがされていまして、そのすべてが走りにプラスに働いています。もはや、その走りったら、天晴れしか、言葉が出てきません。ひたすらに、天晴れ、ほんとに、天晴れ。
 エンジンはアッパーグレードの2.0Lターボですが、ま、いうまでもありません。アクセルペダルを深く踏み込まなくても太いトルクを発生させて、まさに待機していてくれますので、加速感もありますし、扱いやすさにもあふれている。ブレーキは、フィエスタのような美しさとは異なり、イマドキの初期制動の立ち上がりの早いフィーリングですが、不足なんぞない。乗り心地という面では、18インチタイヤが起因した硬さがありますけど、しなやかさにあふれるシャシーゆえに、そもそもが快適。といいますか、先のトレース性もあいまって、安心感にあふれています。
 と、べた褒め。って、実際、CセグベースのSUV系では、価格まで含めた価値という見方からすると、トップだと思います。って、新型ティグアンに乗っていませんから、まだ、わかりませんけど、でも、でも、でも、あのタイヤが見透かせるようなあのダイレクト感はないでしょう。って、たぶん、どのメーカー、ブランドに限らず、あのフィーリングは時代遅れとなっていくんでしょう、きっと。って、最新型フォーカスですら薄れていましたから……。
 あ、ウィークポイントを強いて挙げるとすると、ま、燃費でしょうな。これは、ヨーロッパフォード由来のモデルのいずれにも言えることなんですが、高速道路を走って14.0km/L。下道ドライブで12.4km/L。もう少しの伸びが欲しいですな、と思ったら、JC08モード燃費は10.0km/L。そうですか、そうでしたか。それにしても、もったいない、とってももったいない。こんないいクルマが日本で正規輸入されなくなるなんてね(買えなくなるなんてね)。あ、結論は、イチオシたる存在なのですが、価格がね、もう少し抑えられていたら、イチオシとなったんですけどね。と言いながら、あの広大なガラスルーフ、とってもいいですとか、矛盾を言い放ったりして。
 そういえば、最終モデル(2016年モデル)は正式発表前に撤退発表があったため、アナウンスできなかったとか。実は、SYNCにMy Ford Touchが加えられているそうで……。そうでしたか、それはそれは。

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