#1343 らしさを残したままに新世代を表現していた、ボルボXC90。

 新車テストドライブが続いています、最近。続いてはボルボXC90。フォードテイストが完全に抜けた、久しぶりのオリジナルボルボとしてデビューしたモデルですが、まぁ、新世代を感じさせながらも旧世代に息づくボルボらしさを残したという、まさにボルボ尽くしのモデルに仕上がっていました。
 今後、エンジンは4気筒より上は作りませんと明言しているように、このXC90とて、基本的にすべて4気筒。しかも、排気量は2.0L、って、過給器付きではありますけども。ま、理想は分かりますけども、現実的に2tを超えるボディに対してトルクが足りているんだろうかと思えば、これが、もはや十二分。320ps/400Nmを発生するT6は、ボルボお得意のフラットトルク感をベースに、パンチという演出を加えていまして、足りているどころか、十二分を感じ、ちょっとショックを受けたほど。さらに、モーター駆動を組み合わせたT8となると、ここまで不要でしょと思えるほどのパワーを発生させ、ゆとりを超えた先にある贅沢さを感じました。ただ、そこに扱い難さは全く見当たらず、緩やかにアクセルペダルを踏んでいる限りはトルク変動を感じさせることなく、ゆとりをもってジェントルなフィーリングを提供。そうなんですね、先代XC90に搭載していたV8的とでもいいましょうか、そんな感じ。T6とT8をあえて比較してみると、やっぱり、先代での、軽快感のある6気筒、ジェントルテイストを高めた8気筒にあった違いが、最新世代にもジションとして与えられていまして、そんな作り方も、また好印象であるポイントとなっていました。
 そして、いずれにも、スペックには現れないけども、扱いやすさをメインに表現しているという、オーナーになってみないと見えてこないボルボらしさを感じましたし、そういったボルボらしさを丁寧に作り込んでいることに、ちょっと安心感を覚えました。それはイマドキを追いかけず、独自のフィーリングを追求するというスタンスとも言えましょうかね。それでいながら、最新の技術も相まって、イマドキのクルマとしての不足を何ら感じさせません。ハンドリングにしても、かつてのボルボと比べると、たとえばギア比にすら違いを感じるかもしれませんが、そこには無理矢理にスポーティに仕立てたのではなく、シャシー、ボディに見合った、安心感を提供できるステアリングフィール(ギア比)を組み合わせただけのこと。そういったひとつ、ひとつにボルボが表現されています。
 それはデザインにも現れています。奇をてらうのではなく、流行(はやり)を追い求めるのではなく、むしろ、そういった流れに対してのアンチ的なスタンスを明確に表現していて、これがまた好印象。なんていうんでしょうかね、分かりやすく言うならば、最新型プリウスの対極にあるとでもいいましょうか、そんな印象。だからといって、過去を表現しているわけではなく、モダンをデザインしていますし、そこにはクルマたる、ボルボたる普遍、あるべき姿がデザインされている。つまり、飽きが来ない、長く乗れる、そんなモダンがそこにはあります。
 そうそう、R-Designには、なんと22インチホイールが標準装備されていましたが、これが……、って、もちろん、強い入力に対しては35という低扁平率がもたらすコトコトといった硬さが出てきますが、これだけの大径ホイールを組み合わせながらもドタバタさせていないという、なんともかんともなハイチューンが施されていました。って、エアサス仕様の話ですが。ちなみに、今回は、R-Designでもサスセッティングは変わらずだそうで、タイヤサイズでスポーティさを演出しているに止めているとのことでした。
 というように内容充実させ、クラス感をアップさせたXC90ですが、価格帯も上へとスイッチ。T8は1000万円超えとなったそうで。いやはや、いやはや。

このブログの人気の投稿

#1297 イチオシに変わりなかった、ルノー ルーテシア ゼン MT。

#1113 5年目にして……、トラブルではなかった、後付けサンルーフのあれこれ。

#1735 快適すぎるし、愉しすぎる。想像していたその先に到達していた、プジョー308。