#1333 デミオとは異なるキャラクターと質感を高めていた、マツダ・CX-3。

 デミオとくれば……、そうです、同じディーゼルユニットを搭載したCX-3を確認したくなるもの。やはり昨年末に改良を受けていますし。そのメニューは、さらに足回りにも手が加わっているというから、期待大、と。ただ、同じディーゼルエンジンでも、デミオがFF+6MT+アッパーグレードだったのに対して、CX-3は4WD+6AT+ボトムグレードでしたから、車種が異なる以上に、あれこれと比較項目が多くあり、印象が異なるというか、あれやこれやを感じました。
 どこから話していきましょうかね。#1128では試乗会でのファーストインプレッションを語り、#1230ではロングドライブで感じたことを語りましたが、その印象は変わっていません。デミオが手にしていない質感を得、クロスオーバーモデルという言い訳が見られない素性があるなど、そのポジションにオリジナリティを感じました。って、デザインもそうなんですけどね。ということは、ライバル不在ってことになるんですが、って、強いて挙げるとするならば、プジョー2008とルノーキャプチャーですな。
 今回、強く感じたのは、以前語った性能がブラッシュアップされていたことでしょうか。その中でも、やっぱりハンドリングと乗り心地のハイバランスぶりでしょうな。路面トレース性に長けており、さらに柔軟性という表現が的確なしなやかさを高めていて、これが愉しさと快適さを上手くバランスさせていました。実のところ、市街地走行では見えづらいところなんですが、速度を少々上げると途端にシャシー剛性の高さとボディ剛性の高さをこれでもかと感じさせてくれます。直進性がすこぶる高いことを披露し、コーナリングではボディ剛性はもちろん、的確な姿勢変化とシャシーのグリップ感も手伝って、え、これ、国産のBセグ? と言葉にしてしまったほどの愉しさがあります。それは、クルマと対話できないと、動きが大きいと言われてしまうフィーリングですが、対話できるようになると重心高がある分を上手く姿勢変化に持ち込み、そして、グリップ感を上手く引き出し、愉しさにあふれるフィーリングと表現できるもの。簡潔に表現するならばロールを消し去るのではなく、CX-3の愉しさとしてうまく生かしている、と。
 ただ、グリップ感については、もう少し欲しいなと思ったのも事実ですが、最近、これについてあまりに厳しい目を持ち過ぎているような気もしますし、過去に語りましたように、18インチのベストぶりを知っていますから、まぁ、この16インチ仕様ではこんな感じかな、と納得しましたが。あ、ただ、ある速度域において、ステアリングを右、左に切った際に、異なるグリップ感があったのは……、あれは気のせいなのだろうか、って、もう少し乗り込んできましょうかね。
 4WDのサスペンションセッティングはゆったり感を表現したものとなっており、これもまた好み。ただ、これは改良前モデルでも感じたのですが、サスペンションリバウンド時の最後の最後、減衰が消え往くところで、突然に減衰が抜ける、つまり、フワ感が顔を出すことがありまして、それが気になったかな。大きな入力があった際に出るかと思えばそんなこともなく、ある程度ストロークした状態から、さらにストロークした際に出てくるのかと思えば、そんなこともなく。分析しきれなかったのですが、どうやら、バンプストッパーに当たった後の動きのようで、って、大きな入力があったとか、ストロークした際のさらなるストロークってことになるんで……、って、よく分からないのですが、そんなフィーリングがあったのは事実。で、これ、16インチと18インチでサスペンションを共用しているからか、と思った、つまり、18インチでの乗り心地を確保するために、16インチではこう感じてしまう部分なのか……、と納得しようとしたのですが、過去にロングドライブに連れ出した18インチ仕様でも同じことを感じましたので……、さらに分からず。
 ディーゼルエンジンについては、デミオと同じ改善メニューが施されていますが、そもそもCX-3のATは、重量増もあって、また、そのキャラクターもあって、1500回転以下を使わせてくれず、穏やかな発進でも2000回転まで簡単に回るような制御を採用していますので、改良メリットはMTほどまでは感じませんでした。とはいっても、どの回転域からでもストレスなく加速に移れるという意味では、プラスとなっていました。改良点として、ナチュラル・サウンド・スムーザーを全グレードに採用し、さらにフロントガラスの板厚をアップしたこともトピックとなっているんですが、まず、ディーゼルエンジンの燃焼音については、先にデミオで感じた回転域によって耳に届く音があるのとは異なり、全回転域で音が透過していくる印象がありまして、リリースを見直すまでXDはナチュラル・サウンド・スムーザー不採用なのかと思ってしまったほど。しかし、よくよく考えてみますと、絶対的な音圧というか、耳障り感は抑えられていますし、といいますか、デミオで感じたような唐突に音が進入してくるのではなく、こちらではフラット感が作り上げられていまして、音を探ろうとしなければ、気にならない、と。なるほどね、なるほど。
 燃費については、ま、そんなATの制御もあって、MTほど芳しくなく。低燃費を探ろうと思って、1500回転以下に止めるなんて、それこそ、スバルどころではなく、させてもらえず。ただ、静岡まで下道走りをして、あえて新東名を見下ろせるような山越えをして20km/L届かずでしたから、いいんじゃないでしょうかね。ただ、個人的には、この燃費を含めて、MTのメリットというか、アドバンテージを多く感じ、あらためて思うのは、価格だけ眺めると、割高感がありますが、デザインから乗り味まで、価格なりの価値を十分に感じ取れるモデルだな、ということでした。金額はさておき、デミオかCX-3で迷ったならば、デミオじゃなくてCX-3、ATではなくMT、2WDよりも4WDとなるでしょうな。グレードはもちろん。XDで。

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