#1317 理想のクルマのあるべき姿からクルマの評価軸まで教えてくれる、1冊。
あれは最終型カルディナの試乗会でのこと。取りまとめをされた堀 重之さんとお話しする機会をいただきました。この方、ちょっと変わった方で、自社の製品のウィークポイントをしっかりと見極め、それを自動車メーカーという看板を背負いながらも堂々と語り、さらに理想に近づけるべく……、という、まぁ、熱いといいましょうか、分かりやすく言いますと、トヨタの方らしからぬスタンスがありました。ですから、自分にとってはとても興味深いといいましょうか、愉しくお話しをさせていただき、また、自身がフリーになったばかりだったこともあって、はぁ、へぇ、ほぉ、そうなんですね、と、新しい知識といいましょうか、新しい感覚を得た、そんな試乗会だったことを強く覚えています。
実際、最終型カルディナは、物足りなさは残っていたものの、剛性を高めたボディがもたらすシャシー性能アップを感じさせ、なるほどね、そうなんですね、ちょっとトヨタらしくないですね、と感心したことを覚えています。その後は、ノア・ヴォクだったかのG's試乗会でお会いして、トヨタという枠から少し外れた立場になられたこともあって、理想をさらに具現化しており、そこでも、なるほどね、ロッカーですか、なんて話をしたことを覚えています。そのノア・ヴォクG'sも良かったですし、ヴェルファイアG'sまで担当されたかはわかりませんが、あれも良かった(記事リンク→■)。どこかで書いたようにも記憶していますが、この作り込み、なにもG'sで展開するのではなく、もっと広くレギュラー仕様に展開したほうがいいんじゃないかと感じたほど。ま、トヨタとしてはG'sラインだから許された作り込みだったんでしょうね。でも、それが、最新のTNGAに繋がっているように感じるのは気のせいでしょうか。
と、前置きが長くなりました。その堀 重之さんから、これまでの経験、体験、実践、理想を、1冊の本にまとめられたとメールがありました。それが、「走行性能の高いシャシーの開発―実務経験に基づいた高剛性で安全なクルマづくり(amazon→■)」。ボディの理想を掲げ、それがもたらす走りが、愉しさだけではなく、快適性や安心感にも通じることを、分かりやすくまとめられていまして、これがとてもおもしろい。それはもちろん経験に基づいたことから構成されていますから、なおさらに、なるほどね、そうなんですか、ほほぅ、と感心しきり。ましてや、ご自身が携わってきた自社モデルについて、その不足を挙げ、その対策まで触れていまして、まぁ、おもしろい。もちろん、ここに手を加えるとこうなるといった具体例から、さらには、バランスがいかに大切かまで書かれていて、とにもかくにも興味深い。
また、欧州モデルがなぜにすぐれているのか、国産モデルには何が不足しているかを明確に表現していたり、はたまた、スバル、マツダ、日産を讃えているところなど、はっきりいって、トヨタ出身の方とは思えぬ、スタンスがあり、それもまたおもしろい。って、在職中から、この方、社内では異端と捉えられているんだろうなと感じつつ、そんな方がトヨタにいらっしゃることに、ちょっと安心を覚えていたりもしましたが。
個人的には、ハンドリングの豊かさの導き出し方に感じていたあれこれに確信を与えられ、さらにメルセデス・ベンツとBMWに対する評価軸が同じであるとか、何よりも、クルマを好き嫌いで語るのではなく、クルマの本質を感じ取ることが云々とか……、……、まぁ、書きはじめたら、止まらない。
この本は、優れたクルマとはどうあるべきか、今の国産車に何が足りないかを知りたいといった期待に応えてくれますし、はたまた、チューニングに携わる方々への参考になりますし、自動車メーカーで開発に携わる方々への心掛けにまで、広く訴え掛けるものがあります。読み終えて感じたのは、堀さんがまとめて書かれているとおりでしたが、この本に込められた、今の自動車メーカー、それを取り巻く業界、そして自動車雑誌に携わる者へのアンチテーゼ的なニュアンスも感じ取りました。
難しい計算式は出てきません。クルマ選びの参考にも十分なる内容です。ご一読あれ。
実際、最終型カルディナは、物足りなさは残っていたものの、剛性を高めたボディがもたらすシャシー性能アップを感じさせ、なるほどね、そうなんですね、ちょっとトヨタらしくないですね、と感心したことを覚えています。その後は、ノア・ヴォクだったかのG's試乗会でお会いして、トヨタという枠から少し外れた立場になられたこともあって、理想をさらに具現化しており、そこでも、なるほどね、ロッカーですか、なんて話をしたことを覚えています。そのノア・ヴォクG'sも良かったですし、ヴェルファイアG'sまで担当されたかはわかりませんが、あれも良かった(記事リンク→■)。どこかで書いたようにも記憶していますが、この作り込み、なにもG'sで展開するのではなく、もっと広くレギュラー仕様に展開したほうがいいんじゃないかと感じたほど。ま、トヨタとしてはG'sラインだから許された作り込みだったんでしょうね。でも、それが、最新のTNGAに繋がっているように感じるのは気のせいでしょうか。
と、前置きが長くなりました。その堀 重之さんから、これまでの経験、体験、実践、理想を、1冊の本にまとめられたとメールがありました。それが、「走行性能の高いシャシーの開発―実務経験に基づいた高剛性で安全なクルマづくり(amazon→■)」。ボディの理想を掲げ、それがもたらす走りが、愉しさだけではなく、快適性や安心感にも通じることを、分かりやすくまとめられていまして、これがとてもおもしろい。それはもちろん経験に基づいたことから構成されていますから、なおさらに、なるほどね、そうなんですか、ほほぅ、と感心しきり。ましてや、ご自身が携わってきた自社モデルについて、その不足を挙げ、その対策まで触れていまして、まぁ、おもしろい。もちろん、ここに手を加えるとこうなるといった具体例から、さらには、バランスがいかに大切かまで書かれていて、とにもかくにも興味深い。
また、欧州モデルがなぜにすぐれているのか、国産モデルには何が不足しているかを明確に表現していたり、はたまた、スバル、マツダ、日産を讃えているところなど、はっきりいって、トヨタ出身の方とは思えぬ、スタンスがあり、それもまたおもしろい。って、在職中から、この方、社内では異端と捉えられているんだろうなと感じつつ、そんな方がトヨタにいらっしゃることに、ちょっと安心を覚えていたりもしましたが。
個人的には、ハンドリングの豊かさの導き出し方に感じていたあれこれに確信を与えられ、さらにメルセデス・ベンツとBMWに対する評価軸が同じであるとか、何よりも、クルマを好き嫌いで語るのではなく、クルマの本質を感じ取ることが云々とか……、……、まぁ、書きはじめたら、止まらない。
この本は、優れたクルマとはどうあるべきか、今の国産車に何が足りないかを知りたいといった期待に応えてくれますし、はたまた、チューニングに携わる方々への参考になりますし、自動車メーカーで開発に携わる方々への心掛けにまで、広く訴え掛けるものがあります。読み終えて感じたのは、堀さんがまとめて書かれているとおりでしたが、この本に込められた、今の自動車メーカー、それを取り巻く業界、そして自動車雑誌に携わる者へのアンチテーゼ的なニュアンスも感じ取りました。
難しい計算式は出てきません。クルマ選びの参考にも十分なる内容です。ご一読あれ。