#1304 ひたすらに残念でしかたない、フォードの日本市場からの撤退。

 突然に飛び込んできた、フォードの日本市場からの撤退については、まぁ、もちろん驚きましたが、それ以上に寂しさを感じました。それはインポーターが減ることよりも、日本でフォードのクルマに乗れなくなることに対してでした。ここを見ている方はお気付きのとおり、フォードのモデル大好きです、ワタクシ。贔屓しているわけではなく、事実クルマがいいという理由から。
  最新のエコスポーツもフィエスタもマスタングも、そして、エクスプローラーもクーガもとってもいいんですが、クルマについてのあれこれ書く者として、そして、クルマ好きとして、強く強く印象に残っているのは、写真のフォーカスST(オレンジ)と、フォーカスC-MAX(ブルー)。スポーツカーとモノスペースという違いはありますけど、そこに表現されていたクルマとはこうあるべき姿が強く表現されており、強烈なショックを受けたことを今でもはっきりと覚えています。
  フォーカスSTなんて、なんでしょうかね、エンジンとシャシーのフィーリングを感じ取る前に、つまりクルマが動き出す前から、あのシートポジションと、あのシートに打ちのめされました。サポート性とはこうやって作るもんだと言わんばかりのシートデザイン、クルマをコントロールするにはこういうポジションが理想なんだといわんばかりの仕立て。あれはフリーになってから、なんとなく自分の中でのスタンダード、ベンチマークがおぼろげに見えてきた頃でしたが、さらなる高み(理想)を知って、再リセットをかけざるを得なくなりました。まさに、自分が再構成されたって感じで、今の自分の根幹があるといいましょうか、ま、それほどのショックを受けました。
 右のC-MAXなんて、モノスペースでしょ? と思われるかもしれませんけど、パッケージングを変えようとも、ステアリングとタイヤが直結しているフィーリングが強く打ち出されていまして……。って、ふとフロアを見たら、ステアリングからリンク、シャフト、その先に繋がるタイヤが透けて見えるかのような、まさに透視図を見ているかのようで、そりゃー驚きましたさ。あ、オンセンターは曖昧さがありますよ。ありますけどね、オンセンターフィールにおいて大切なのは曖昧さを消し去ることだけではないってことも、あの時に学びました。はい。 その上で、トルクの豊かさを前面に打ち出した2.0Lエンジンの仕立ての良さ。ヨーロッパのモデルでトルクの豊かさがもたらす走りの豊かさってのを分かっているつもりではいましたが、それもリセットされた感がありました。ボディ剛性があっての、シャシーのしなやかな動きとか、ステアリングとロールとの云々とか、ブレーキングの美しさやら、もはや、すべて。そうなんですね、フォードのモデルからいろんなことを学びました。
 ま、世代(技術)は変わりましたから、そんなアナログ感あふれる乗り味は、最新のフォードからは薄れていますが、そのベースにはどのモデルにも(いわゆるアメリカフォード由来のモデルにも)しっかりと息づいています。だから、フォードが次にどういう仕立てで来るかは、いつも愉しみにしていました。#1256で書きましたが、大改良版フォーカスでステアリング(フィール)を変更してきたことは、寂しくもあり、物足りなさもあり、でも、そこにはかつての、ステアリングフィールってのはこうやって作るんだよを感じましたので、不足には捉えていませんでしたし、むしろ、次の改良で戻ってくるんだろうなという期待感にワクワクした覚えもあります。だからね、残念なんです。
 まぁ、ご存知のとおり、広く一般を狙うのではなく、確実に販売していくという手法に変わってからは、派手さがなくなりましたし、一般には伝え切れないところがあったのも事実です。スポーツグレードのみという販売方法は好みではありませんでしたが、生き残るための戦略に対して否定したくもなく、といいますかね、この販売方法によって、業績(販売台数)は上向きだと聞いていましたから、ま、これはこれでありなんだろうなと捉えていました。
 勝手に妄想するに、今回は、業績の話だけではなく、ついでと言わんばかりの大人の事情があったように思います。いずれにしても、おつかれさまでした、ありがとう、といった感が、今、強くあります。それにしても……、残念、です。

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