#1301 ミニバンたる価値より、その基本性能に打ちのめされた、VW・トゥーラン。

 VWのトゥーランです。10年以上とロングライフだった先代ですが、ようやく2世代目へとスイッチしました。で、今回のトピックは、MQBプラットフォームを採用していること。つまり、ゴルフ、パサートと好印象でしたから……、そうなんですね、悪いわけがない。ただ、期待が大きかった分、心配はありましたが……、良かった。とても、いい仕上がり方をしていました。走り出してすぐに分かる全てのバランスの良さ。タイヤの接地感から、ドライブトレインの滑らかさ、エンジンのトルク感と扱いやすさと、シートのサポート性と……。で、駐車場から道路へと出る段差をトンと降りたら、シャシーのしなやかさとタイヤのいなしとに、感激。ま、そんな感じでした。
 試乗したのは、コンフォートライン。16インチタイヤを採用した売れ筋と予測されるモデルですが、これがフラット感がとても高くて、直進性が高くて、もううっとり。タイヤのケース剛性が高め、かつストローク量少なめというセッティングによって、路面変化が大きなところではトン、タンが出てきますが、まぁ、それとてしっかりいなしている感がありますから、気にならず。それよりも、ステアリングのオンセンター部の適度な曖昧さの中にある正確さと、それに見合った操舵感が上手くバランスされており、ステアリングを切り足したところから顔を出すタイヤのグリップ感もありますし、そこでの操舵感も適切だし、何より、ロールフィールがきれい。いや、きれいを超えた、美しいって表現のほうが的確、かも。さらに何がいいって、ロールからの戻りのフィーリングが、これまた美しい。
 つまりですね、結果としてスポーティ。演出しないのに。基本性能が高いからスポーティ。つまり、ドライビングに愉しさがあふれています。聞けば、すでにMQBプラットフォームも改良版へと移行しているそうで、個人的には、このハイバランスぶりからゴルフ7以上を感じてしまったほど。基本性能の話です、もちろん。と、ベタ褒めですが、あれこれ考えると、やっぱり、最初に書いたトン、タンといった動きが、気になる。と言ってもですね、VWの初期モデルですから、2、3年もすれば改良されていることでしょう。だから、いいんです、それは。
 今回は、ボトムグレードにトレンドラインを用意していますが、残念なことに受注生産。これを、284.7万円からという見せかけプライスと捉えるか、あれこれの装備を不必要だと考えている人向け装備と捉えるかは、その人次第。ただ、昨今の日本のメインストリームは、なんでもかんでも装備したグレード。そう考えると、このトレンドラインはニッチなグレードであり、販売台数が少ないことを分かっていながらもよく導入してくれたなぁとも、捉えられます。さらに、かつては欲しい装備があるのならば船便経由での3か月待ち(受注生産)をしたものですが、今では、それが欲しいグレード(ボトムグレード)になっただけのこと、と、捉えることもできます。無理がありましょうかね、いや、いいんです、無理があっても。肝心なのは、よくぞ導入してくれました、にあるわけですから。
 というわけで、大絶賛なトゥーランですが、ミニバンとしての機能性もあれこれと感心することばかり。よりコンフォート感を高めた独立3座タイプのリアシートは、あいかわらずアップライトに座らせるスタンスが好印象ですし、広くなった室内をさらに広く感じさせるデザインもしかり。そして、質感をもとめた加飾パネルやら、あれやこれや。燃費についても、2000回転からのトルク感もありますし、また、低回転域での滑らかさもあって、これらが低燃費にかなり影響している感じも受けました。春ごろに、ロングドライブに連れ出して、あれこれチェックしてみましょうかね。

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