#1276 安くはないポロなのに、ポロが不足していた、ポロ ブルーモーション。

 フォルクスワーゲンのポロに追加された3気筒ターボエンジン搭載モデル、ポロ ブルーモーション。あれ、ブルーなんたら、ってあったんじゃなかったけか? と思われた方、それはブルーGTで、あちらは1.4Lターボを搭載しながら、スポーティな走りと燃費・環境性能をハイバランスしたモデル。で、こちらは、1.0Lターボエンジンを搭載して、十分なパワーを備えながら、燃費・環境性能を高めたモデルと、そんな違いがあります。なるほどね、価格を抑えたベーシックモデルかと思いきや、これが、269.9万円と、レギュラーモデルより高い設定。どうして? なぜ? と思って聞いてみたら、空気抵抗を低減する専用エアロパーツやらが付いていたり、装備があれこれ云々、となもし。なるほどね、なるほどね、なるほどね、……、ま、エコ=安いというイメージはいかんですから、なるほどね、なるほどね……。
 ま、肝心なのは走りだと走ってみれば、あれ? タイヤの空気圧が高すぎるフィーリングが。サスペンションのストローク感はポロしているんですが、空気圧が高いがゆえの硬さとタイヤにおける反発を強く感じまして、あれ? おや? があります。分かりやすい表現をしますと、ボールにパンパンに空気を入れてしまった時のあの感じ。剛性感はあるんですけど、反発も強く出るというあのフィーリング。タイヤはもちろんエコをキャラクターとしていますが、グリップ力はそれなりにあります、ありますが、グリップ感のほうがポロしていない。このグレードの狙いは分かるんですが、理解できるんですが、ポロらしさが失われていないかい? と思うところがあるわけです。なんだろうな、ワインディングを走り込むと感じるポロらしい楽しさがあふれてこないって表現すればいいでしょうか。って、まだ、エンジンを語らずして。
 で、エンジン。これは良かった。パワーは十二分。高回転域までパワーを出しますが、そこでのエンジンサウンドがね、ちょっとね、雑なのが気になるかなといった感じでしょうかね。3気筒なりの振動は回転域によってありますが、MINI(ナロー)ほどではなく、好印象。といいますか、DSGが振動が出る回転数(1400回転以下)をあえて避けてシフトしていますので、マニュアルで無理矢理に高いギアをセレクトしない限り、振動を感じることはないでしょう。ただ、その分ですね、燃費が犠牲になっています。マニュアル操作で高いギアをセレクトするとすぐに分かるんですが、差が出ておりまして……、期待ほどの燃費が出てこない。市街地から郊外まで下道走って15km/L台、法定速度70km/hな有料道路を走って29km/L(写真右)。ちなみに、これはDSGが7速をギリギリ許してくれる速度ですな。で、乗鞍まで下道を走って20km/L。走らせ方もあるので一概には言えないのですが、とにかく市街地というか、発進時にはパワー優先といった印象があって、瞬間燃費を見ているとあまり芳しくなく。で、1.2Lターボとのバランスの良さを思い起こしてしまうわけですが、……、って、燃費に対しては期待値が高すぎたこと、1.2Lターボのパワーと燃費のバランスの良さから、そう感じたのだとは思いますが。
 あと、かなり気になったのが、アイドリングストップからの復帰の際、つまり再発進におけるショック。ブレーキペダルを離すと半クラッチによるクリープを行うのですが、そこから緩やかに加速しようとアクセルペダルをわずかに踏み込んでいっても、期待通りにはスピードは上がらず。さらに、探りながらわずかに踏み込むと、タイミングによって、クラッチを繋いだ瞬間にドンとショックが出ます。トンではなく、ドン。まさに、MTのクラッチ操作がラフなドライビングをしたかのような挙動を見せます。ペダルを大きく踏み込んだのならば納得できる挙動ですが、緩やかを越えて、ショックが出ないようにと探りながら踏み込んでのことなので、これは少々よろしくない。cross up!では、あんなにキレイに作り上げていたのに、どうしたものか、って、ターボだからなんでしょうか、世代なんでしょうか。
 結論としては、あと一歩といったところが多く、これでレギュラーモデルよりも安ければ納得もできるのですが、これではコンフォートライン(228.4万円)やら、今、売られている特別仕様車のほうが満足感は高いのかな、と思えてきます。たぶん、このエンジンとの組み合わせも改良を経てフィーリングも整っていくことは見えているんですけどね。そうそう、改めてポロに感心したのは、シャシーとボディのバランスの良さ。あの直進安定性、コーナーでの懐の深さには、感心しきりでした。

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