#1256 なんだかんだで大絶賛は変わらない、最新型フォードフォーカス。

 東京モーターショーネタから離れて新型車の話。フォードのフォーカスとエクスプローラーです。いずれも、マイナーチェンジモデルですが、フォードらしい進化を果たしていました。
 まず、フォーカスから。13年より日本へ導入されている3世代目フォーカスに対しては、フォーカスらしいシャシー性能に感激したものですが、一方で、快適性とのトレードオフがありまして、そこにもったいなさを感じていました。走行性能に惚れてしまうのに、買う段になって躊躇してしまうといった、もったいなさ。で、マイナーチェンジを受けたフォーカスは、装いを変えただけではなく、乗り味にコンフォート感を大きく高めていました。サスペンションがしなやかに動くだけではなく、そこに衝撃をダイレクトに伝えないという仕立てを加えています。言い方はありきたりですが、アッパークラス感が表現されていて、ちょっと驚きました。つまり、快適。もちろん、アジリティやスタビリティの感激はそのままに。タイヤが路面を細かにトレースしていくフィーリングにうっとりといった感じでした。ゴトゴト感もありませんでしたし。
 ただ、ステアリングフィールが期待とずれていました(その後、納得しますが)。以前より、フォーカス含めて、フォードのFFモデルのステアリングフィールに関しては、ベタ褒めです、ワタクシ。それは、インフォメーションが明確過ぎること、そして、それがコントロール性に繋がっていることにあるんですが、なんていうんでしょうかね、ステアリングからタイヤまで、シャフトを介して繋がっているのが、透けて見えるようとでもいいましょうか、足下の先にタイヤがあって、それがどういう状況にあるかが手に取るように分かるよう、といった感じ、か。
 ところがですね、これが薄れた。どのブランドもいつかは通なければならない通過点とでもいいましょうか、つまりは、操舵をイマドキの軽さを与えていました。ま、言い換えれば、ようやくといった感がありましょうか。ただ、その分、という話です。
 このことについては、実はフォーカスだけ試乗していたらこのままで終わったのですが、その後、ヨシダ好みのハンドリングフィールが色濃く残るクーガに試乗して、あれこれ比較したら、フォーカスが目指したモノが見えてきました。クーガのハンドリングはですね、ダイレクト感があるんです。あるんですけど、そこにはブッシュに対してのプレッシャーからトルクステアまで、違和感も混じっているんです。イマドキといいましょうか、不安感を覚えさせないステアリングフィールってのは、操舵感、操舵力が一定であることにキーがあります。つまり、突然の変化を生まないことといいましょうか、速度域におけるフィーリングも含めて、ドライバーの想定どおりでなければなりません。これがですね、新しいフォーカスにはちゃんと表現されていました。たしかに操舵力という意味合いでは軽さがあります。しかし、ステアリングフィーリングの安定感(言葉はおかしいけど)を目指して作り込み、そこにフォードらしさを表現していたことに気付きました。ただですね、仕込みきれていない……、と表現すればいいでしょうかね、そんな感じだったのです。
 実は、それに気付いたら、って試乗後でしたが、違和感を覚えていたステアリングフィール以外のことを思い起こしてみれば、1.5Lエコブーストエンジンのパワーフィールもそれに見合っていたし、何より、静粛性含めての快適性から乗り心地まで、すべてが同じテイストがありました。たしかに、トルコンを用いたATとなったことで、ATらしい滑りというと的確じゃないかな、間を感じますが、そこも上手く使って、エンジンフィールから唐突感(トルク変動)を上手く、きれいに消し去っています。で、それにあのステアリングフィールも見合っていた。実際、ワインディングでは楽しさにあふれていましたし、懐の深いシャシー性能も強く感じ、そこにスポーティさを求めたフォーカスたるスタイルもちゃんと確認できました。なんていうんでしょうかね、次のステップへと大きく踏み出したとでもいいましょうか、そんな印象を受けました。
 というわけで、書き始めたら止まらない。まとめてしては、とってもいいと思います、新しいフォーカス。ってことで。エクスプローラーについては次へ……。

このブログの人気の投稿

#1297 イチオシに変わりなかった、ルノー ルーテシア ゼン MT。

#1113 5年目にして……、トラブルではなかった、後付けサンルーフのあれこれ。

#1735 快適すぎるし、愉しすぎる。想像していたその先に到達していた、プジョー308。