#1242 なんだかんだで80年代がいちばんいいと思う、中島みゆき話 その3

 まだまだ続く中島みゆき話。80年代後半がいいという流れになっていますが、実は80年代前半もとてもいい。この時代は悪女のヒットが有名ですが、当時のアルバム作りがですね、これがそれぞれに丁寧に作り込んでいてとてもいい。アルバムという曲の構成、流れ、世界観をちゃんと表現していて、そのクリエティブさに羨ましさを感じるほど。
 どれか1枚と言われたら、まぁ、臨月でしょうな。締めくくりの夜曲(→)なんてのは、その最たるもの。アレンジャーは松任谷正隆。これもいつの日かとうとうと語りますが、松任谷正隆って人は、世界観を表現するのが実に上手い人で、って、たまにおや? ってのもありますが、まぁ、とにかくスゴイ(と思っています)。この夜曲は、スローテンポな曲ですが、なんていうんでしょうかね、ノスタルジー感といいましょうか、今でいう昭和感がここぞとばかりに表現されていまして、詞がというのではなく、クリエイティブな意味合いから、泣ける。まさに泣かせるギターもいいんですが、それを煽るかのようなドラムがまたいい……、と、最近気付いたんですが、この夜曲でドラムを叩いていたのが、林立夫でした。いやはや、いやはや。
 ちなみに、このアルバムを含めて、ギターで鈴木茂も参加していたりと、サウンドクオリティの高さが、アルバムの世界観をさらに高いものへと引き上げているような作り込みがされていまして、イマドキのアルバム(世間一般)にはない良さがあります。何でもできるのに、表現力に乏しくなるのとは逆の、アナログ感に通じる、昔は良かったね、的なサウンドですな。

 個人的には、あまり話題に上ることのない、はじめましても名盤だと思っています。まぁ、初めて予約までして購入した中島みゆきのアルバムだったこともありますが、これもまたアルバムそのものが作品になっている。ただ、それは雰囲気だけではなく、曲間まで作り込まれたもので、まさに通して聴くことに意味があるアルバムに仕上げられています。具体的には、動から静へ、静から動へという間だったり、曲から曲へのストーリーのつながりだったり。そして、最後のはじめましてへと繋げる流れもとてもオモシロイ。もちろん、アレンジ含めてクリエイティブがあります。
 さてと、話は止まらなくなってきました……。というわけで、まだまだ続きます。

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