#1241 なんだかんだで80年代がいちばんいいと思う、中島みゆき話 その2

 さて、中島みゆき話の続きです。80年代後半の強いサウンドへの流れの決定的なきっかけとなったのは、セルフカバーアルバムである御色なおしだったんだと思います。その中に収録された柏原芳恵に提供したカム・フラージュ(→)は、甲斐よしひろプロデュース&アレンジによって、その詞に込められた意味合いをかわいらしく表現するのではなく、感情的に表現しています。まぁ、考えてみますと、この曲は、取り方次第では、恨み節になるわけで、当時は、その変わり方に相当なショックを受けましたが、嫌いとか好きとかではなく、表現ってのは、こうやって変えるのか、と、妙に感心した覚えがあります。まぁ、甲斐バンドも好きでしたし。
 この後、Miss.M→36.5℃→中島みゆきと続いていくわけですが、アレンジャーといいましょうか、co-producerによって、まさに、その表現は付き合っている相手を変えるように変化していったと感じていました。そして、この頃のサウンドを、ロック色とか、打ち込みサウンドと簡単にまとめられてしまうこともあるようですが、リズム感を全面に出した強いサウンドがそう感じさせていただけだと思っています。そもそも、打ち込みサウンドは、この後のアルバムでも使われていますし、シンセによる作られたデジタルな音色もまた然りですし。このリズム感の強さは、それまでとは異なる表現方法だったこともあり、馴染めなかった人が多かったのも、また事実でしょう。自分は、アナログよりもデジタルシンセにリアルタイムで触れていた世代ですから、わりと違和感なく接することができたように思います。
 ま、いずれにしても、このサウンドの強さに対して、曲と歌詞がそれに負けていないどころか、そもそも持っていた強さを上手に引き出しているという印象が強くあります。それは、決してデジタルサウンドだけでまとめられたわけではなく、生音もありますし、といいますか、アナログだけではなくデジタルサウンドを上手く組み入れることで、その表現を広げています。その最たるのが、中島みゆきに収録されているローリング(→)でしょうか。思い通りにいかない悔しさと、寂しさと、それを慰める語りとが、実にうまく表現されています。後々に、アレンジしなおして収録(→)していますが、あれはいかん。なんであんなアレンジにしたのか、何故にあんな、がなりたてるような歌い方をしたのか、理解できません。まぁ、 個人的に、当時の思い入れもあってのことではありますが、オリジナルに到底届かずといった印象があります。
 いずれにしても、この後に迎えたアレンジャー(今でも変わらず)は、いわゆるTV主題歌やら、大ヒット曲やらに携わった方ですが、個人的には、彼が携わった初期のアルバムの1、2枚におもしろさを感じましたが、その後はあまり惹かれず、中島みゆきとの距離が離れていきます。
 なんか、書きたかったことともどんどん離れていく……。というわけで、続きます。

このブログの人気の投稿

#1297 イチオシに変わりなかった、ルノー ルーテシア ゼン MT。

#1113 5年目にして……、トラブルではなかった、後付けサンルーフのあれこれ。

#575 燃費を期待できる2シリンダーモード、でもね、というゴルフ7。