#1228 理想の進化を果たしつつ、あれこれとヒントがあった、スズキ・ソリオ。

 スズキのソリオシリーズは、隠れた名車といいましょうか、隠れたヒット商品でした。なんていうんでしょうかね、そつない作りといいましょうか、スライドドアや、室内高やら、ベーシック+αとして求められる全てを織り込んだ商品で、クルマとしての性能もちゃんと作り込んでいて、リーズナブル感やら含めて、ま、そんなことを感じていました。
 で、その新型がデビューしましたが、まぁ、不満にはなっていないけど不足していたあれこれを改良し、さらにキャビンスペースを広げるといった手法により、その商品性を確固たるものとしてきました。というわけで、理想といいましょうか、その正常進化ぶりに、感心しました。まぁ、細かなこといえば、静粛やら制振といった面からコンフォート感を高め過ぎた分、小さなショックがもたらす音、振動が目立ってしまっているとか、そんな程度のことはありますが、言いだすと切りがないので、止めておきます。まぁ、いいんじゃないでしょうか、とっても、と。というのが、結論です。
 で、で、ソリオに試乗し、開発者の方と話をしていくうちに、軽自動車の台頭によって苦戦を強いられているA、Bセグモデルの生き残り方のヒントが、ここにあるような気がしました。あれです、5ナンバー枠ギリギリサイズにせずとも、広いと感じさせるキャビン(パッケージ)の作り方。新型ソリオのボディサイズってのは、全長3710mm、全幅1625mmですから、キャビンではタイト感を覚えるはずなんですが、それを感じさせない。あれですな、ワゴンRがデビューして、初めて乗った時に、軽なのに広いと感じさせたのと同じ、あの感覚。つまりですね、この、Aセグベースでもあっても、とりあえずとばかりにハッチバックスタイルにするのではなく、この手法を用いることで不自由を感じさせないどころか、十二分を感じさせられるのではないか、と。そして、コンパクトであるがゆえのメリット、取り回し、軽量化、コストダウンを引き出せるのではないか、と。そういった作り方、アプローチですな。
 ちなみに、今回のソリオの車両重量は最大で990kgでして、スズキの新型エブリイが890〜930kgであることから、以前から言っています、小型車に軽自動車のエンジン搭載の可能性も、わりと現実的であるような気がするわけです。すでに、軽乗用車のターボエンジンは、1.3Lクラスのパフォーマンスを発揮できるようになっていますから……。なんて妄想話を、滔々と語ってみたところ、上手く伝わりませんでしたが……。
 話がだいぶそれましたが、クルマも、そろそろこれで十分を語れるモデルへと移行すべきじゃないかなってことを、感じさせてくれました、ソリオは。ほら、安全性や快適性を求めて増えてしまった重量を、最近は軽くしようとする回帰的な動きが見られるじゃないですか、それを、価格とか、装備とか、サイズとかにも準えないかな、って。

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