#1207 SUV的なだけではなく、クルマたる完成度も高いゴルフオールトラック。

 で、#1206の続き、試乗会のメインのゴルフオールトラックの話です。ゴルフRヴァリアントの直後という試乗順では、このオールトラックに不足を感じてしまうかなと思ったものの、実際には、あれこれに違いを感じても、それを優劣とは捉えませんでした。むしろ、ゴルフヴァリアントをベースにして、Rとオールトラックと2機種のバリエーションを作ってきたことに感心したと。ちょっと、これは自分でも意外だった部分で、って、まぁ、そう捉えないように意識的になっていたところもありますが。
 たとえば、ハンドリング。その操舵感は、SUV的という以前に、これ、ユニット違うでしょ、といわんばかりの差がありました。が、オールトラックのそれを悪いとは思わなかった。操舵感に曖昧さはありますし、特に戻しに対しては、Rとの違いを強く感じましたが、それはオールトラックのしなやかなサスフィールと、豊かな路面トレース性とに見合ったものであり、違いは感じても不足とは感じなかった。エンジンフィールも、Rとは全くもって、パワーもトルクも異なるにも関わらず、こちらの1.8Lターボの扱いやすい仕立てと、パンチを加えたフィーリングに感心しましたし。そして、コントロール性がいいことを発見。重心が上がっているにも関わらず、それを上手くシャシーフィールに転換していて、つまりは、ロールやグリップを感じながらのワインディング走行に愉しさがありました。
 では、SUVとしてどうなのさ、という点について確認すべく、ちゃんと砂利道も走ってきました。といっても、非常識なスピードで走るようなことはせずに。で、感じたのは、SUV的な仕立てというよりも、やっぱり、このプラットフォームの懐の深さに感心しました。仕立てのいいサスペンションとは、路面トレース性に長けており、速度域や路面状況を選びません。ま、ある性能に特化させたサスペンションは別にして。というわけで、オールトラックのシャシーは、路面をトレースしているフィーリングに長けていまして、少々、凹凸があろうとも、グリップを失うことなく、乗り心地に対しても、余計なリバウンドを見せることもなく、優秀でした。
 そして、ここでも、頭の中に比較対象として浮かんでいたのはスバル車。具体的には、レガシィ・アウトバック。クラスが違いますし、もちろん、ボディサイズが違いますし、グランドクリアランスも違いますから、安易な横並び比較はできません。しかしですね、質感という面ではアウトバックが上かなと感じつつも、細かな仕立てはオールトラックのほうがいいと感じるところも数多くあった。たとえば、オールトラックでは、基本的なトレース性にしなやかさを感じまして、ストロークフィール含めて、そこにはバランスが整えられている感があります。しかし、アウトバックは、なんかね、スポーティを意識し過ぎたところがあって、しなやかさの中に硬さがあったりして、そのまとまり感に不足がある。そんな違いかな。
 ふと、気づけば、ゴルフオールトラックの価格帯は、ACCとプリクラも付いて347万円とは、アウトバックを意識していますな。ちなみにアウトバックのリミテッドは340万2000円(こちらは本革シート付き)。あれやこれや、細かなところは異なりますが、両車ともに互いを意識するってのは、いいことではないでしょうか。

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