#1199 好印象だらけなのに、でも……が残った、ホンダ・ジェイド(ハイブリッド)。

 ホンダ・ジェイド(ハイブリッド)です。サードシートを供えつつ、立体駐車場に入れられるということから、ストリームの後継モデルたる雰囲気を持ちつつ、その提案に新しさが多くあり、後継と呼ぶにはちょっと気が引ける、まぁ、そんなモデルです。
 で、結論から言ってしまいますとね、これが良かった。とても良かった。なんていうんですかね、商品性という企画をしっかりと立て、それに求められる性能をしっかりと表現しているという、そんな良さ。つまりは、走りたる面もいいんですが、この手のクルマに求められる性能もしっかりと持っていた、と、そんな感じとでもいいましょうかね。
 まず、感心したのは、その視界の良さというか、視認性の良さというか、安心感。ベルトラインを落としつつ、Aピラーをかなり寝かせていまして、単なるパノラマ感とは表現しきれない、まさに、全て見渡せるという安心感がありました。さらに、助手席側ドアミラーの下にカメラを配置して、いわゆる死角をモニタ表示するという、LaneWatchが、秀逸。まさに、見えないところをしっかりと表示してくれるため、特に左折時の視界確保に、役立つ、役立つ。なんで、この手の機能が普及しなかったんだろうと、考えさせられてしまうほどに、……、いい。写真左がそれですが、左折時に写真を撮ることはできませんでしたので、信号待ちの時のもの。まぁ、見どころは、横のフェンスまでしっかりと写していること。
 乗り味はですね、シャシー剛性をしっかりと作り上げた上で、コンフォートにチューニングしているといった感があります。タイヤの転がり抵抗は低く、そして、初期入力を、確実に、そしてソフトに変換するところは、絶品。今回は、乗鞍のヨシダ極悪テストコースには行きませんでしたが、八ヶ岳のヨシダ極悪テストコースでは、合格点を感じました。多少バウンドが大きかろうと、リバウンドで大きな逃げをしようとしないし、だからといって突き上げを感じさせることもない。路面トレース性がすこぶるいいんですね、このクルマ。
 最近のホンダのハイブリッドユニットは、簡単にいえば、EV走行モードを可能としたことがポイントですが、それを上手く生かした制御が、とても好印象です。このジェイドも同様。発進直後はEVモードですが、その後、たとえ、緩やかなアクセルワークであろうとも、即エンジンを始動し、そしてパーシャルに入るとEVモードへと切り替える。つまりですね、燃費を求めるために、アクセルワークで探ろうとしなくてもいい。クルマに従っていればいい、低燃費は引き出しやすい、と。まぁ、この点は、自在な操作ができるか、クルマに任せきりになるかといった観点から、その評価は分かれるところですが、個人的には好印象でした。極端な低燃費の例を挙げると、下り基調、でもアップダウンありながらの県道で、のんびりドライブを愉しんでいたら、自然とEVモードを活用することになってて、気づいたら40km/Lオーバーの燃費を記録していました(上の写真)。燃費を意識しないで、15km近くを走っての数値と考えると、優秀。ドライバーは燃費運転たるアクセルワークをそれほど心掛けずしても、走りを犠牲にすることなくても、低燃費を期待できる……、つまり、燃費と走りを上手くバランスさせているなと、感じたことのひとつですな。
 で、やっぱりEVモードは燃費性能に有効だなと思いきや、高速域でメーターを見たら、EVモードではないにも関わらず、瞬間燃費は40km/Lを指していました。つまり、ガソリンエンジンそのもののポテンシャルとともに、モーターとの協調制御も練られていることが見えてきます。ちなみに甲府盆地から我が家まで、例のごとくの下道ドライブ(120km)の燃費は、25.0km/L。時に飛ばして、時にワインディングという走りでしたから、この数値も、優秀と言えましょうかね。
 と、高評価のジェイドですが、実は愉しさという面では、何かが欠けていて、最後まで、それが何かを突き止められませんでした。個々をチェックしたんですが、ハンドリングはすごくいいし、サスペンションもとてもいい。パワーユニットのフラットフィールもとっても好み。でも、見えない何かがあって、愉しさまで届いていない。思うに、タイヤのグリップ感かな。トレース性はいいんですよ、でも、接地感がちょいと薄い。転がり抵抗とのバーターになってしまっているというと、偉そうですが、そんな印象がありました。ま、その分の低燃費とも言えるわけですから、……云々。RSは、この点、違うんでしょうかね、チェックしないと。

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