#1182 ”何もないこと”を愉しむために奥能登へと来た、という話。

 半ば思い立って、半ば計画的に、能登へとやってきました。なんか久しぶりのような気がして、振り返ると……、昨年12月上旬に、クラブレガシィの取材で石川県を訪れています。ただ、半島に足をかけた程度でしたし、仕事でしたから、あまり能登気分に浸ってはいませんでした。で、カレンダーを調べたら、昨年11月下旬に来ていましたので、約半年ぶりか。以前書いたとおり、新幹線開通とか、映画とか、テレビドラマとか、話題が一気に集中したこともあって、能登からは意図的に遠ざかっていました。といいつつも、能登のあれこれが気になっていましたし、なんか呼ばれたような気がしたので、ふらりと訪れることにしたわけですが……。
 実は、能登がとても良い場所であることは覚えていたのですが、あれだけ来ていながら、何が良いのか、どんなふうに良いのかは、すっかり忘れていたように思います。ということすら、忘れていました、到着するまでは。で、来てみれば、ダイナミックというよりは風光明媚といったほうがピタリと来る景色やら、人やクルマが少なく、雑多があまり目に付かないという、ストレスのない風景やら、そういう意味での"何もない"という良さがあることを、思い起こしました。
 ただ、波が打ち寄せ、ただ、太陽が沈み行き、ただ、風が吹いていく、それだけのことなんですが、これがいい。普遍という刺激といいましょうか、日常という当たり前に気づくといいましょうか、ま、そんな感じ。なので、ただただ、その場に浸っているだけで、幸せが湧き出してくるようなそんな感じ。非日常というと、よく癒されるという言葉が使われますが、それとは明らかに違います。癒されるのではなく、これでいいんだを気づかせてくれる、そんな感じ。それは、リフレッシュでもなくて、どちらかといえばリセットに近いかな。
 というわけで、夕ご飯のおかずは、夕景(写真)。いや、そこまで詩人ではありませぬ。今日はひとりだったので、夕食は、ちょちょいと作って。で、夕景を眺めながら、あれこれ考えごとをしながら。テレビやスマホなんてもの、必要ありません。というか、ここには不必要なのです。

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