#1174 予想以上という予測を超えていた、マツダ・ロードスター。

 さてと、ロードスターです。新世代マツダの商品群の集大成といいましょうか、とりを飾るといいましょうか、……、って表現すると、もう新製品が出てこないような書き方になりますので、えっと、まぁ、いいや、そんな感じのロードスターですな。
 で、いきなり、結論。これが良かった。とっても良かった。何が良かったかと言いますと、スペックだけのスポーツカーに仕立てていないところが、とんでもなく良かった。言い方を変えますと、ドライビングの楽しさをダイレクトに表現したモデルなんですが、それが一部の人向けになっていないという仕立て。つまり、ここで良く使う言葉である、結果として、スポーティといった感じに仕上がっています。気持ちのよいドライビングとはどういうものかを解析し、分析し、そして、定量化して、設計に落とし込んで、揉んで(!)、で作り上げたといった感じ。印象に残ったのは、スポーツカーを作ったのではなくて、マツダ・ロードスターというクルマを作りましたという開発陣の言葉。まさに、そんな感じの仕上がりなのです。
 具体的にあれこれを書いてみますと……、まず、ステアリングフィールは、FRとかクイックとかダイレクト感とか、そういう次元とは異なる、素直さにあふれていまして、適度な操舵感とつぶさに伝わる路面からのインフォメーションが豊かで、これがうっとり。1.5Lエンジンは、パワー不足を想像するかもしれませんが、パンチとは異なる、気持ちよいパワーフィールを表現していまして、雑味のあるサウンドも相まって、これがとってもいい。シャシーは、しなやかさにあふれていまして、路面からの衝撃をしっかりといなしながら、その動きにダイレクト感があるという不可思議なバランスを作っていまして、これもとっても良かった。あとはなんだっけか、シートも、デミオ同様に、素直というか、理想であるポジションを、意図せずとれることから、これも好印象。
 MTは、シフト操作という存在感をアピールすべき要素を持っているにも関わらず、その存在を忘れさせてしまうほどにいい。小気味よくとか、ショートストロークとか、そういう言葉で表現できない、その上。自分で操作しているはずなのに、勝手にシフトレバーが動いているかのようなそんな心地よさなのですよ。もちろん、扱いやすさにあふれておりまして、それこそが意のままを仕立てているといった感じ。ちなみに、ここ最近のマツダのATを大絶賛していますが、そんな自分からしても、今回のMTはいい。というか、過去最高じゃないかな、このフィーリングと思えるほどにいい。トランスミッションを担当した方々にお話を伺えば、人による操作の奥深さは、電子制御でもまだまだ及ばないところがあり、MTはまだまだ突き詰められることがあるのだといいます。なるほどね、なるほど。と、書きだしたら止まらない……。この時点では、MTが断然オススメです。って、ちなみにMTが不得意という方でも大丈夫です。AT限定免許でないならば、MTを選ぶことをオススメしたいですな、ほんとに。
 と、まぁ、もはや曖昧な言葉でしか表現できないあれこれですが、実際に、このクルマに仕立てられているのはそういった部分なので、お許しを。今回は、短時間での試乗でしたので、夏が終わる頃に、ロングドライブに連れ出しましょうかね。
 あ、気になったことといえば、S Specialパッケージのシャシーが、妙にしなやかだったこと。まぁ、リアのスタビとトンネルブレースバーの追加に止まっているはずで、感じたしなやかさを引き出すには役割が違うと思いつつ、これは個体差かな。開発陣に訊いてくるの忘れました。

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