#1116 そのスポーティな仕立てにあらためて感心した、スバル・レヴォーグ。

 さて、レヴォーグ。え、改良されたの? って、まだA型のままですが、スバルのブランンニューモデルとして捉えて、改めてテストドライブすると、レヴォーグが目指したあれこれや、その課題もまた見えてくるもの。簡潔な表現をしますとね、スポーティたる要素を、うまくバランスさせたモデルであり、そこにあらためて感心しました。もう少し言いますと、それはクイック感だけではないクルマとドライバーとの一体感を伴ったシャシーを与えながら、スポーティを語れるパワーを与えつつ、燃費・環境性能をも納得させたという、そのバランス感に対しての感心、ですな。
 そもそも、このレヴォーグは、日本で期待されるレガシィ像をダイレクトに表現したモデルでした。そのサイズ感から走りに至るまで。まぁ、振り返ってみれば、レガシィってのはコンフォートとスポーティと両方をバランスさせたところにアドバンテージがあったグランドツーリングカーでしたが、時代は流れて、日本のオーナーの期待感と、グローバルカーとしての役割とに差が生まれ、それらを明確に分けねばならない時機が来ていました。分岐点とでも言いましょうかね。
 そういう観点からすると、キャラクターを明確にしたところに感心を覚える一方で、ターゲットオーナーを絞ってしまっていることにも気がつきました。いや、そのコンセプトや、目指したあれこれは間違っていません。でも、曖昧な仕立てにしなかった分、置き去りにされた人もいるという、そんな意味合い。レガシィオーナーは、皆がターボ車を所有していたわけではなく、そのベーシックたる基本性能に惹かれていた人たちがいたのも事実。というか、そちらのほうが多い、か。そして、その人たちの乗り換えの受け皿となるモデルとしては、このレヴォーグでは満たせないあれこれがあるのもまた事実かと。
 で、その違いとは、価格帯もありますが、どちらかというと、クルマとしてのキャラクター、走行性能のほう。そういった観点からすると、大改良を受けたインプレッサがその期待に応えられる仕上がりとなっていますが、かといって、それが乗り換えるクルマがないと嘆いている4代目2.0i Bスポーツオーナーの期待に、大きく応えられるかといえば、クラス感やら、ネーミングやら、微妙なズレがそこにはある、と。このことは、大改良されたインプレッサに試乗したからこそ、感じたこと。
 レヴォーグのキャラクターに天晴れといいたくなる仕立てを感じつつ、同時にそこまでを望まない人の期待に応えるためにはどうすればいいのか……、ちょいと考えてみました。まぁ、好ましくない回答ですが、緩いレヴォーグがあればいいってこと、に。ただ、それをやってしまうと、レヴォーグたるブランド性が崩れゆく……。困った、困りましたな。NAエンジンにすれば解決するって問題でもありませんし。
 ま、デビューしてからまだ1年。最初は華々しくデビューしてインパクトを与え、そして、ニーズに応えつつ新しい提案をもって細やかに改良していくのが、スバルの常。このレヴォーグも、いい進化をしていくことでしょう。どんな進化を果たしていくのか、興味深く見守っていきましょうか、ね。

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