#1089 完璧でないからこそ、その追求に愉しさがあった、カセットデッキ。

 最近の分解で、#1088のiPhone5cのように修理できたものがある一方、修復不可能となったのが、カセットデッキ。そう、いまさらのカセットデッキ。再生スピードがおかしくなっていたので、ベルトだろうと分解していったらば……、元に戻せなくなった。フタを開けてみれば空間だらけでしたが、メカニズム部、電気部分、それぞれに取り外し順序があり、当初は順序よく外していったものの、だんだんと分からなくなっていき、途中で、これ、戻せないなと感じてはいましたが、そのとおりとなりました。いちおう、元に戻してはみたものの、ネジは8本も余っているし、メカ的なところではリッドは閉めて固定できず、デジタル的なところはでレベルゲージは点灯せず……。つまり、何かを留めわすれているどころか、樹脂製パーツの何かを破損させ、電気的な何かをぶったぎったようですな。
 というわけで、諦めました。ちなみにベルト回りに異常は見当たらず、どうやら、制御部の電子部品の何かに原因があったようです。って、コンデンサー類は見た限り、大丈夫そうでしたけど。
 ちなみに、この壊れたカセットデッキは、学生時代にふんぱつして購入したデッキで、思い入れがありました。あまり人気のなかったビクター製なんですが、迷走から奮起した頃の製品(カセットテープにおいては)なんですが、最上位機種ではなく、いわゆるスタンダードなモデル。ただ、上位機種の技術のあれこれが用いられつつ、オーディオ雑誌で評価が高かったことから購入しました。ま、コストパフォーマンスと、主流ではないブランドだったことやら、そんなことに惹かれての選び方ですな。もちろん、大満足でした。自身、初の3ヘッドのデッキだったので、あれこれの調整しながらの録音が愉しく、また、その音質に満足していたことを覚えています。
 まぁ、振り返ってみると、カセットテープは、あの当時、音を残しておく方法としてもっと手軽でした。しかし、アナログデバイスゆえに、原音に忠実には録音できず、デッキやテープ性能によって音質が大きく変わるというウィークポイントがありました。それゆえにカセットデッキメーカー、カセットテープメーカー、そして録音する側のあれこれのセッティングに調整代が大きくありましたし、それは、ハイレベルな耳をもったマニアでなければ聴き分けられないサウンドではなく、誰しも違いを感じ取れるものであり、ゆえに、あれこれに自分なりに追求するという愉しさがそこにはありました。そう、スタンダードで、すでにハイレベルにある今のデジタルサウンドとは違って(つまり、もはや聴き分けるという愉しさが薄いということ)。
 そうなんですね、完璧ではないから、曖昧さという隙があるからこそ突き詰めることが愉しいし、スタンダードレベルに達しないからこそ愉しさがあったのだと。逆にいえば、完璧であればあるほど、愉しさは失われてしまうものなんだな……なんてことを考えつつ、そこに昨今の自動車を重ねつつの修理となりました。 
 で、カセットデッキ、もはや不要といえば、不要でしたが、まだ、デジタルに落としていないテープがいくつかあったので、中古を探してきました。同じ機種は見当たらなかったので、憧れでありながら、まさにあの時に手が届かなかったソニーの333ESGを選びました。約5000円。25年前の製品と考えると高いやね。そうそう、もはや録音目的で使用することはありませんから、2ヘッドモノで良かったってことに気づきました。でもね、それでも、欲しいんですな、3ヘッドものが。

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