#1072 クラブレガシィを振り返って思うあれやこれや、その2。

 さて、その2。C型が登場した05年は、クラブレガシィ以外でも3台まとめて取材へ連れ出すという企画が重なりました。BMW3シリーズ(E36、E46、E90)、プジョー(206、307CC、406)、ジープ(ラングラー、チェロキー、グランドチェロキー)、そして、クラブレガシィでは、2、3、4世代での比較企画(Vol027・p140)がありました。世代違いやブランド内で比較することで、それぞれに込められた想いを探し出し、そして、ブランド性という流れやコンセプトを見つけ出すことが、とても楽しい、そんな取材でした。右の写真はレガシィの世代比較企画時ですが、レガシィにおいては、新世代へとスイッチする際に先代を否定するのではなく、先代でできなかったことを実現する、そんなステップが見られたことが強く印象に残っています。ただ、一方で、快適性を求めた進化に対しておや? と感じさせるところもあり、無理に時代についていこうとしているレガシィをそこに見つけました。
 ビッグマイナーチェンジとなったD型の取材は、大改良過ぎて、試乗とインプレッションとで、ドタバタだった記憶があります(Vol028・p15・写真左)。この時は、向後さんがちょいと刺激ある写真を撮影していたこともあって、文章も意識的に自動車雑誌的ではない表現を用いています。クラブレガシィで、BMWやらレクサスやらを意図的に引き合いに出したのも、この時が初めてではないか、と。今更に読み返してみると、ほかブランドとの比較を含めながら、肯定的な表現方法や、流れがあって、いい文章ではないかと感じますな。デザインも、クラブレガシィとしては異例といいますか意図的なチャレンジが見られ、企画のすっきり感含めて、今でも最も好みなページだったりします。それにしてもこの号でのカバーカーズ(Vol028・p9)の写真は、とってもいいですな。とっても。これも向後一宏氏。
 この頃、レガシィ以外にも刺激を与えてくれるクルマに出会っています。プジョー406からは快適を語るリアシートの仕立て方を、ゴルフ5からは乗り味の質感アップたる手法を、Aクラスのボディサイズと質感は比例しない仕立てなどなど。自ずと、レガシィに足りないモノも見えてきて、バランスやら質感やらをやたらと語るようになるのも、この頃でした。
 また、このD型から、レガシィの開発者とドライブを共にするという連載がスタートします。試乗時の対話たるライブ感をそのままに伝えようとした企画でしたが、文字(ページ)数が全くもって足りず、毎回執筆には苦労した覚えがあります。また、取材日、開発者をピックアップするのが10時だったため、そこから移動して撮影するには時間がまったくもって不足。昼ご飯が17時過ぎになるなんてこともあり、皆様にはご迷惑をおかけしました。
 右の写真は、その最終回(Vol035・p131)。風邪で体調を崩しているというPGMの増田さんにラジコンを持って来ていただき、八ヶ岳で撮影。今、考えてみると、どうしてもっといいスポットを紹介しなかったものかと。まぁ、あの頃はそこまで知らなかったか。連載を通して、カメラマンは、今は大阪に戻ってしまった田中秀宏氏。自動車雑誌っぽい写真をあえて避けて撮ったあれこれは、その回のテーマに応じた印象的なものばかりでした。
 いつからか、過去となったレガシィ(つまりUSEDレガシィですな)を紹介するページもスタート。撮影だけではなく、編集部がかけあって試乗させてもらうことにもトピックがありました。過去を振り返ることは、今を知ることにもなりますから、とてもいい機会となりました。その中でも印象に残っているのは、左の写真のBHアウトバックのMT、つまりデュアルレンジモデル(Vol038・p102)。この当時で9年落ち・6.2万km、そしてグリーンのツートーンで、34.8万円。今思うに、この車両は買いでしたな。
 4世代目の後半は、年次改良でまだまだやりますか? といわんばかり内容、そして特別仕様車の力の入れようが印象に残り、その都度にインタビューを行っています。そして、最終型となるF型では、伊豆へとロングドライブへ出かけましたっけ(Vol040・p34)。取材時は、4世代目の完成形に感激した覚えがあるのですが、文章を読み返してみると、戸惑いやら迷いやら、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ、取材の時に感じたことをストレートに表現しきれていないなと感じます。理由はまったく分かりませんが。文章中に、擬音に凝りドタンとかトタンとか、いった表現を用いていますが、あの頃は、レガシィに限らず、ホイールサイズを大きくすることを優先し、乗り心地を犠牲にしたモデル、つまり、ゴトンなクルマが多すぎたもので、それを分かりやすく表現するためにそんな言葉を使っています。
 この続きは、近いうちに。

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