#1055 直4ターボでも、リアマルチリンクでも、マスタングしてた6代目モデル。

 さて、マスタング。そう、とうとうリジッドサスペンションを捨てた、6世代目のマスタング。本日、試乗会があったので出かけてきましたが、国際試乗会を除いたローカルな試乗会としては北米についで二番目の試乗会だとか。といいますか、北米でもようやくデリバリーが始まったばかりで、今回の試乗車も空輸したほどだったとか。仕事の忙しさからもはや欠席しなきゃならんかなと思っていましたが、無理して出かけて、良かった、良かった。
 もちろん、クルマが良かった。といっても、それはヨーロッパ車のようなクルマたる良さではなく、マスタングとしてとてもいいというレベルの話。直4ターボエンジンになろうと、リアマルチリンクサスになろうと、マスタングはマスタングでした。といいますかね、いい素材を集めながらも、それをわざとマスタング風味に仕立てています。ステアリングは緩さを消し去っているものの、オンセンター付近とそこから先でフィーリングを変えています。つまり、オンセンターを緩く見せつつ、実は緩くない。で、エンジンは、アクセルを少し踏んだだけで、スロットルがガバっと開いたかのようなパワーを出しますが、アクセルを戻すとすぐにパワーも落ちる。つまりですね、実用域において扱いにくさが、ない。エンジン&エキゾーストサウンドも通常は静か、とっても静か、なのにアクセルを踏み込むと、吠える。意図的にやっているでしょ、そういわんばかりのセッティング。
 さらに、乗り心地は、スポーティなシャシーセッティングと19インチタイヤによって、バタ付きが顔を出しますが、観察すると、乗り心地は悪くない。突き上げも硬さもない。不満は全くない。つまりですね、リジッドかのように、わざとばたつかせています。
 どうしてV8じゃないんだって声もあるかと思いますが、この直4がいい。先に書いたように、直4なのに、2.3Lなのに、V6みたいなフィーリングを表現しているし、サウンドを奏でます。たしかに、頭が軽いって不思議な雰囲気はありますが、フロントタイヤが遠いってフィーリングはそのままですし、いい意味での軽快感に繋がっていて、そこには楽しさもあります。んー、いい。とっても、いい。マスタングとして、いい、そして、とてもおもしろい。
 考えてみると、400万円台まででトルク40kg-m台を出しているエンジン搭載モデルって、スバルのレヴォーグとWRX、そして、このマスタングだけ、か。カマロのV6は38.7kg-m。そう考えると、リーズナブル感がさらに際立ちますな。
 最近のフォードは、クルマの作り込みがとてもとても上手いとは常々言っていますが、その次のステップとして、こうした、味の付け方をしっかりとマスターしてきました。これ、ちょっと、うなってしまいましたね。って、今回も、か。
 ちなみに、今回は試乗したのは、北米仕様を50th記念車として先行発売した車両。レギュラーモデルはヨーロッパモデルがベースになり、来年後半から再来年に日本上陸の予定だそうです。とりあえず、レギュラーモデルはすべて右ハンドルとなるとのことですが、特別仕様車やらで、MTや左ハンドルを期待してしまいます。エンジンは、この直4/2.3LターボとV8/5.0Lの組み合わせに。ラインナップとしてはV6も用意しているものの、グローバル的には廉価版的な扱いゆえに、一部、地域に限定されるとのことでした。

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