#991 共感と再認識とひたすらに自分の不足を感じた、C.W.ニコル氏の講演会。

 昨日、C.W.ニコル氏の講演会があったので足を運びました。片道150kmほど走って。締め切りが迫った原稿を抱えながら。もちろん、ニコル氏のことはもちろん存じていましたが、自分の知っているニコル氏というのは、その風貌にも表現された、そのなんとなくの雰囲気のみ。
 講演は、さすがはプロですから、話術もなかなかですが、何よりもその内容がとても濃かった。話は、故郷であるイギリスや他国と比較しつつ、日本は自然がとても豊かであることを再認識しなさいという話からスタートし、生態系を崩すことで不利益を被ることへとつなげ、そして、自然を再生することの大切さを自らの体験をもって紹介し、自然の中にいることで人は幸せになれること、いや、自然の中にいなければならないことを説き、まとめとして、東日本大震災で被害を受け、復興を目指す東松島へのアドバイスを、最新プロジェクトのひとつとして紹介するという流れとなりました。これで1時間。ムービーを使ったり、イギリス人であったことを上手く表現に採り入れるなど、途中、笑いと拍手とが入り交じるほどに、集った人を引き込んでいました。この説得力を含めた、話術は、たんに話が上手というよりは、やはりそのベースには経験や体験をもとにして、そこで自らが何を考えたかを、ストレートに話しているだけのこと。だから、人々の心を打つのでしょうな。
 なんてことを感じつつ、もちろん、話の内容のあれこれに、ショックを受けました。自然の中に身を置いた時、涙が勝手に流れ出したというくだりがありましたが、自らも同じことを体験しています。ただ、ニコル氏の場合は故郷の自然破壊に対する想いとの比較があってのこと、とのことでしたが、自分の場合は、単純になんかいいなー、ここが居場所のような気がするー、ってな感じでしたから、そのレベルは全く異なるものであり、そこに自分の、人としての不足を感じましたが、自然の中にいて何か感情を覚えたことは同じです。それが出来ていただけでも幸せなのだな、と思ったりもしました。
 それこそ講演で感じたすべてを書き出したいのですが、ま、それは追い追いに。で、強いてあとひとつピックアップするとしたら、「森は心のふるさとであり、文化の基(漢字は勝手に当てはめました)である」というフレーズかな。そうなんですね、心のふるさとってところまでは誰しも分かっているのですが、文化の基になっていることまでは強く意識されていません。もちろん、前提は生きることにあり、生活を豊かにするための文化ですな。他人を幸せにしたくなる、そんなことまでも含めた文化。そして、そのすべては、森(自然)から成るわけです。
 それに続いて、講演の中では都会生活の”不自然さ”を語るところもありましたが、まさにそのとおりだと思いますし、常々、ここでも書いているかもしれません。やはり、都会にあふれる便利さや快適さ(と思わないところも多いけど)と引き換えに失ったモノは大きく、それが人をねじ曲げてしまっています。だから、何かおかしいと思ったら、人と違うかなと感じたら、一度、自然に戻ってみるといいです。野生児になれとは言いませんが、少なくとも、食材まで切り刻まれ、片づけをしなくていいような、バーベキューをして、アウトドアを愉しんでいるなどとは思わないほうがいいと思うのです。
 話が、まとまりませんが、ま、そういうことなんです。ちなみに、この日の小海町は肌寒く、会場を出てみれば気温は11℃となもし。すっかり風邪をひきました。

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