#959 良くも悪くも感じさせないことにキーがある、ワゴンR+Sエネチャージ。

 回生エネルギーを動力として利用した、ワゴンR、Sエネチャージ搭載モデルですが、ま、軽自動車でハイブリッドシステムがなかなか成立しない、そんなジレンマへの、ひとつの回答としての提案商品であると捉えると、なかなか愉しいモデルかな、と。カタログ燃費は32.4km/Lと大きくステップアップしていますし、価格を抑えられましたから、その存在意義は大きいですな。ただ、量販グレードではないがゆえに、どこまで健闘するかが見どころではありますが。
 ただですね、あれこれと探りながら試乗して感じたのは、一連の効果が分かりにくいこと。実はアシスト中のフィーリングは、現行型のままをターゲットとして作り込まれており、アシストされていることは視覚的には確認できても、体感することはできません。現行型初期モデルから乗り換えた人は、ガソリンスタンドでおや? と感じるかもしれません。しかし、ノーマルのエネチャージ搭載モデルと比較して、果たして、どこかどんなふうに変わったのか、変わっているのか、が分かりにくい。
 ちょっとやり過ぎ感すら覚えたのが、IP電話の通話後に、これまでのキャリアのプランよりもこんなにお得だったんですよと、教えてくれる機能。通話料金形態を頭に叩き込んである自分としては、こんなのいらんだろうと思ったんですが、分かりやすさ、使って良かった感、つまり、満足感を高められる機能と考えると有効なのかな、とも思いました。もちろん、使用・走行条件がそれぞれに異なるクルマに、これを持ち込むのは難しいんですが、変わった感を強く打ち出すためには、ま、少なくともアシスト中の表示はもっと目立たせるべきという、優先事項が見えてきますし。って、好き勝手言っていますが。
 ただですね、こうした新機能やその効果に対して、お金を払うモデルの場合、やはりオーナーは対価以上を体感・理解できてこそ、満足度を高められるわけですし、満足度が高いと、それをついつい自慢というスタイルで、人に伝えたくなるもの。昨今では、知人に話すだけではなく、SNSやらがありますから、ヘタに宣伝広告費を掛けるんだったら、よっぽど有効な手段ではないかと、思ったわけです。
 あとは、このSエネチャージは、回生エネルギーからのみ電力を供給するのですが、実は、そこにゲーム性に似た愉しさがあることを発見しました。というのも、街中では、必要な電力量に満たないと電力によるアシストは行われないんですが、そのレベルを求めて、ついつい充電させるような運転(ガソリンを消費するとも言う)をする。ま、意識的にアクセルを踏んでガソリンを使ったほうがいいのか、云々は、微妙なラインにあるんですが、いずれにしても、そこに何か作り込みを仕掛けても、おもしろい。というか、価値が出る。
 まぁ、まだまだあれこれあるんですが、いずれにしてもシステムとしては、おもしろいネタをたくさん抱えています。たぶん、これからのクルマ作りにも求められるのは、そこから先の作り込みなんでしょうな。もちろん、ベースがいいこと、前提で。
 なんか、話があちこち飛びましたが、ワゴンRwith Sエネチャージ、いいと思います、おもしろいと思います。あ、この燃費改善は以外にも、アイドリングストップからの復帰、つまり、再始動時のセルモーターサウンドが消え去ったことにトピックがあります。地味ですが、大きな進化というか、ステップアップとも感じました。
 そうそう、写真のようにフロントマスクが専用デザインとなりました。この差別化から、ここから何かが派生しそうな予感すら感じるのですが。って、過去にもありましたな、RR登場の予感的な……。

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