#955 中途半端さは見当たらないS4、扱いやすさにあふれていたSTI。そう、WRXな話。

 で、WRXですな。スバルのWRX。話を聞いていると、レヴォーグよりも開発のスタートは早かったようですが、レヴォーグのほうが発表が早かったので、共用していたあれやこれやを、レヴォーグに先に発表されてしまったとか。ただ、まぁ実際には開発時期の差による、仕上がり差はないんでしょうけど、たった数か月の発表差が、クルマにも表れていたような印象を受けました。つまり、いい。セダンだからいいのか、な。
 個人的に印象に残ったのは、意外にもS4。いや、実は、S4の存在ってのは、少々前から知っていましたが、同じプラットフォームを使いながら、ここまで車名を変える商品展開ってどうなんだろうって、ことを含めながら、中途半端さを感じていました。セダンは、G4、S4、B4って並びにしたいことは分かるのですが、それが伝わりにくい。そこにヒエラルキーが表現されていたとしても、ドイツ車のような理路整然とした並ぶが分かりにくい。上に、EJ20ターボを残し、下は、FB型で1.6Lと2.0LNA、で、自らはFA20ターボって、わかるようで実は分かりにくいエンジンラインナップ。というようなあれこれを含めつつ、互いに互いの印象を打ち消すようなゾーンがあって、そんなことを感じていました。
 ところが、試乗したところ、これが、良かった。回答性たる素直さあふれるハンドリングと、スポーティたるパワーユニット、そして、AWDたる安定感。このあたりはレヴォーグにも共通するのですが、それらが、さらにブラッシュアップ感していたというか、バランスされていた感を覚えました。なんでしょうね、これ。スポーツテイストを語れるポテンシャルを与えながら、誰でも愉しめるというフィールドを残しているという、このバランス感。そこには、クラスアップに通じる、質感の高さもあって、なかなかいい仕上がりでした。
 一方、WRX STIは、意外にもスパルタンさを前面には打ち出しておらず、そういう見方をすると刺激不足。しかし、絶対的な性能は先代のすべてを上回っています。なぜ、先のようなことを感じたかというと、ベースとなったプラットフォームが優秀であるために、エンジンひとつにしてもジェントルな印象が強くなり、乗り心地までいいし、なにより操縦性がハイレベル……。って、これもスバルの技術がなせる技って、捉えるべきこと。こちらはサーキットでの走行となりましたが、とにかくコントロールしやすくて、簡単に表現しますと、アクセルだけでどうにかなってしまう、そんなレベルを作り上げており、その完成度の高さに驚きました。ちなみに、ビルシュタイン付きのほうがコントローラブルで、特にリアの安定感はすこぶる高く、安心してコーナーへ飛び込んで行けます。
 ということで、話が、飛びましたが、いいと思います、今度のWRX。無理してSTIを選ぶ必要もないですし、無理してSTIを選んでもいいと思います。

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