#910 リアサスペンションを変更したThe Beetle Designのロングドライブ記。

 能登が自分にリンクしたって話は散々にしましたが、肝心なThe ビートルのインプレッションを書くのを忘れていました。デビューから時間が経過しているのに何故に今更に? と思われたかもしれません。#636で触れましたが、リアサスペンションをトーションビーム式から、カブリオレとターボに先行採用されていたマルチリンク式へ変更してまして、そのチェックと。まぁ、そもそも同じボディながら2タイプのサスペンションを用意している時点で、イマドキのコスト優先なスタンスとは異なるこだわりにいやはやを感じつつ、だからといって、デビューから2年で変更してしまう離れ業にもいやはやを感じるわけですが。
 試乗会(初期モデル)では、トーションビーム式ゆえのリアサスペンションのしなやかさ不足が気になっていました。特に17インチタイヤとの組み合わせは、リアシートにおける乗り心地がいいとは言えないシーンがありました。もちろん、今回のリアのマルチリンク化によりウィークポイントは払拭され……、これがいい、いい、いい。とても、いい。17インチゆえの硬さは残っていますが、硬くはない。路面をきれいにトレースしていくフィーリングは、ハードウェアに世代違いはあれども一連のVW製品に倣ったもの。多少のトタトタ感(ドタバタではなく)はありますが、ビートルのキャラクターゆえに許せます。コーナリングでは、とにかくシャシーのしなやかさにうっとりで、リアサスの踏ん張り感も相当なハイレベルで、もう、ワインディングが愉しい、愉しい、愉しい。
 1.2Lターボのポテンシャルについては今更語るまでもなく。中回転域のトルク感は十分であり、そこを多用するトランスミッションの制御も相まって、愉しい、愉しい、愉しい。DSGの発進時のギクシャクも改良ごとに消え去り、現行型はアイドリングストップレスであることも手伝って、特筆するようなウィークポイントは見当たらず。ま、シーンによってはターボとギアセレクトにおける“待ち”があったりしますが、それよりも、クルマとしてのハイバランスぶりの印象のほうが強くて、そんなちっぽけなこととばかりに、気にならなくなります。
 今回は1200kmほどを走ってきましたが、走れば走るほどに身体に馴染んでいくクルマであり、それと同時に愛着も増していく、そんな良さがこのモデルのアドバンテージであることを再認識。もちろん、リアサス変更前モデルも悪くはないのですが、変更後は乗り味における質感を高めたことで、さらにどこまでも走って行きたくなる感が増したように感じましたな。
 燃費は、ほかの1.2Lターボ同様に高速域で超丁寧な運転を心掛けると30km/hに近い数値を期待できます。ただ、街中の渋滞にはまったり、ラフに運転していると15km/L程度。って、それでも15km/L程度なんですけどね。
 乗っていないのでコメントしづらいところもあるんですが、たぶん、16インチタイヤ(ファブリックシート)のほうがクルマとして、ビートルとしてのバランスはいいと推測されます。17インチタイヤも悪くないのですが、ハンドリングにもう少し緩さがあってもいいのではないかと思うシーンもありますし、硬くはないと書きましたが、荒れた路面ではトタトタがドタドタになることもありましたから、やはりこの点では16インチのほうがベターではないかと。

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