#800 スペックには表現されないワクワクこそが、クルマたるスポーティさ。

 さて、輸入車試乗会のネタの続き。あと5台。で、ここでまとめて3台。ルノー・ルーテシアRSと、アバルト500と、シトロエンDS3カブリオと。ひとことでいえば、Funなモデル。それぞれについてはすでに紹介していますから、クルマにおける愉しさとはなんぞやを語ってみましょうかね。
 愉しさってのは、ずばりスポーティだと思うのです。ただ、スポーティ=ハイスペックだとは思っていません。つながることがあっても、必ずしもそれが条件だとはないと思います。だから、よく言いますが、結果としてスポーティ。
 たとえば、ゴルフはボトムグレードでもスポーティだと思いますし、ミニもスポーティだと思います。端的にいいますと、スポーティとは愉しさがあふれてくるかどうか、ワクワクさせてくれるかどうか、ハラハラとは異なるドキドキが存在しているかどうかだと思っています。クイックなハンドリングであっても、クルマだけが曲がろうとするのか、ドライバーとともに曲がろうとするのか、その違い。そこにドライバーを置き去りにしていない、クルマとともに愉しめる性能を与えてくれているかに尽きると思います。この点では、やっぱり輸入車ではスポーティなモデルが多い。
 ルーテシアRSは、ハイパフォーマンスぶりがクローズアップされているモデルですが、やはりベースにあるのは先に述べたスポーティであり、それは#722で書いたようにスタンダードモデルにもあるものです。ちょっとだけハイスペック、でも、実はたいしたスペックではないのに、それを助長しているのがアバルト500でしょうな。もはや、確信犯的に作り上げたやんちゃぶりに、それが見えていますし、その遊び方(心)が実に上手い。いや、これもスポーティさとはなんたるかを分かっているからできることだと思います。
 ベースモデルのほうがスポーティという表現をすることがありますが、その場合は、ハイスペックモデルになると飾りすぎて素性が見えなくなるからって、意味合いがあります。やっぱり、クルマにおける愉しさ(スポーティさ)は、互いに素直でいられるか否かがキーになっています。対話性ですな。そう、ウソのない対話性。それがないといい関係は築けませんし、いい関係が成り立たなければスポーティさはあふれ出しません。あ、MTがスポーティというのは、ドライバーの一方的な操作性によって作り上げられているのではなく、よくも悪くも互いをさらけ出せる関係を強要するから、そんなふうに感じています。もちろん、ATでもCVTでも、仕立て方次第で、MTのようなスポーティさは成立します。
 そして、シトロエンDS3カブリオもスポーティ。オープンエアモータリングがスポーティに通じるのは事実ですが、このモデルはそれだけではなく、というか、それは二次的であるような気がしています。このモデルの場合は、クルマとしての仕上がりがスポーティというところに尽きます。#596に書きましたが、ハッチバックと比べるとやんちゃぶりが抑えられた分、質感を得ており、それがダイレクトにスポーティさを強めています。しっとりとした動きを味わいながら、ステアリングを操作できる。そして、オープンエアモータリングが、その雰囲気を助長してくれる。結果、スポーティ、だから、スポーティ。もちろん、ベースポテンシャルもスポーティ、ゆえに、ハッチバックのNAである、Chicもスポーティというわけです。
 あ、あと、このモデルの場合はデザインもスポーティを助長しています。写真のように、ブルーをこういうふうにインテリアカラーに採り入れてくるセンスは、やはりスポーティさを分かっているからこそ。ドライバーの気分を、どっちへ持って行くか、そして、それにクルマが見合っているか、そこがポイント。まぁ、このモデルの場合は、MTってのも大きいかな。
 それにしても、文字にすると実に難しいですな。そうそう、ここで書いたスポーティさは、ドライバーのスタンス次第で、受け取り方は変わってきます。当たり前か。自らに合う合わないを語る前に、そのモデルを理解しようとするスタンスがないと。

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