#781 我が道を行くといわんばかりに正常進化していたノアとヴォクシー。

 さて、一気にいきましょうかね、試乗会の件。えっと、次はノア・ヴォクシー。ちなみに、トヨタ社内では、両車のことをノアヴォクと呼びます。ついでに言うとアルファードどヴェルファイアはアルヴェルです。ま、どうでもいいんですが。そうそう、ノアヴォクのことを、ヴォクノア(僕ノア)と逆にわざわざ読むカメラマンがいます。ま、これも、どうでもいいんですが。
 で、ノアヴォク。正常進化していたと思います。それはライバルを見据えた進化というよりは、トヨタの5ナンバーミニバンたる進化。ライバルに追いつこう、追い越そうではなく、先代のアドバンテージを残しながら、ネガティブをつぶすという進化。つまりですね、コンフォートライドをベースにして、ミニバンたる曖昧さを消し去っています。それに大きく貢献しているとまず感じるのがなんと言ってもボディ。もちろん、大開口部を備えたモデルゆえにまだまだと思えるところもありますが、強度が高いというよりは剛性感が高いといった印象で、特にねじれといった外乱からの動きに左右されなくなったなと感じました。
 そして、それが理由であることが伝わってくるぐらいに、シャシーにしなやかさが増しています。一人乗車ゆえに軽すぎて跳ねるかのような落ち着きのないフィーリングがありますが、路面をしっかりとタイヤがトレースする様が伝わってきますし、リアサスペンションのスタビリティが大きくアップしたことが強く印象に残りました。ヨー→ロールを意識してステアリングを切り足していくと、素直に付いてくるといった感じ。しっかりとしつけられた犬を連れて歩いているかのようといえば、分かりやすいでしょうかね。リアタイヤの位置も感じ取れるし。15、16インチの差は、実は強く感じ取れませんでした。ってなことを開発陣に伝えたところ、まさに狙ったポイントだそうで、善し悪しは別にして、どっちを選んでもいいと思います、これならば。
 エンジンは、ハリアーでも書きましたが2.0Lで十分というレベルにまでブラッシュアップしています。トルク感をしっかりと表現したこと、CVTとの協調がステップアップしたことやら、発進時のコンフォートフィールをちゃんと表現しつつ、その後はダイレクト感を仕立てているという、まさに進化を感じ取れるところでした。で、ほとんどを4000回転以下で済ませようとしていますから、たとえ高回転域では懸命であることを主張するサウンドを発しても、マイナスなイメージは受けませんし、パワー落ちしませんから不満に感じません。ただ、エンジンノイズがバルクヘッドをすんなり通過してしまっている感がありまして、エンジンが目の前にあることが分かります。ほかのノイズを抑え込み過ぎたために目立った箇所ではありますが、優先順位としておかしくないかなとも思えるところ。また、後日、再確認しておきます。
 あとはなんだっけか。リアシートのシートベルト。これまでは、ピラーに取り付けられていたため、スライドもしくはリクライニングさせると、正しい位置にできませんでした。これこそが、国産ミニバンを勧められない理由ともなっていましたが、新型ノアヴォクでは、もはやいい訳せずに、ちゃんとシートにビルトインしてきました。天晴れ。ってか、当たり前なんですけどね。そういうところに、最近のトヨタの生真面目さを感じます。
 それと、えっと、あれだ、ハイブリッド。公道を走れる車両がなかったため、撮影会場となった園地内(アップダウンあり)をゆるやかに走りましたが、強いパワー感を与えておらず、そこに実用燃費を相当に心配したがゆえのセッティングであることが見えてきます。つまりですね、価格差は40万円もありますから、そこに経済性たるメリットを見いだすには難しいのに、低燃費という方向性で勝負に出た、とでも言いましょうか。訊けば、あのユニットでは、燃費とパワーと価格のバランスは、もはやギリギリのところにあるようで……。ハイブリッドというキーワードがどこまで通用するのか、そこに、評価のキーがあるような気がしましたが。

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