#778 ふと届いた手紙にあの頃を思い出しつつ、原稿書きに挑もうとしている話。

 試乗会の旅から帰ってきたら、手紙が届いていました。差出しは、とある自動車メーカーの、とある実験部の方から。最近、世に出たクルマを担当し、いかに力を注いだかが簡潔に書かれていて、文字選びのひとつひとつに、生真面目過ぎる性格がそのままに表現された手紙でした。その文章からクルマがとてもいい仕上がりであることがストレートに伝わってきました。まだ、乗っていませんから、わからないところもありつつ……。
 そもそも、この方との付き合いは、新型車試乗会だったか、交流会だったか忘れましたが、つかつかと近寄ってきて、吉田さんですよね? と訊かれ、はいそうです、と答えたところから始まっています。お話をしたかったんですと言われ、ふと、執筆した内容に対しての抗議か? と思いきや、その逆で、執筆したインプレッションについて、実験部内でコイツ分かってんじゃんってな話があり、一度話をしてみたかったのだとか。自分の見方が間違っていなかったこと、そして、わざわざ話をしたかったと言われたことがとてもうれしかったと、今でもはっきりと覚えています。もちろん、彼のなんでも興味を持つスタンスと、その行動力に感心したことも、しっかりと印象に残っています。こうした手紙を送ってくれるところにもキャラクターが出ていますしね。
 ふっと、その褒められた文章を読み返してみたのですが、まぁ、インプレッションの内容はともかく、上手く書けていました。06年の文章ですが、クルマに対しての自分なりの評価軸(なんて偉そうに言えるものではありません)が見えてきた頃であり、また、大手出版社にて意味不明と指摘されてきた文体に対しても、それを味であると捉え、自信をもって執筆をはじめた頃。文章に自信に基づく勢いが表現できるようになり、それと同時に、仕事の内容も変わりつつあった頃で、来る依頼に対して自らステップアップを果たさなければならなかった、つまり、毎回がチャレンジだった時期でもありました。だから、なおさらうれしかったんでしょうな。
 と、今を散々に肯定しておいて、原稿書きに取りかかります。ちょいとモチベーション上がらず状態にあり、奮起しようと、こんな文章を書いてみたのですが。さて、と。

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