#759 イメージを変えても、変わることなくエクストレイルだったって話。

 さてと、試乗会集中スケジュールがスタートしました。ということで、まずはその第一弾、エクストレイルからいきましょうかね。そもそも、エクストレイルとの付き合いは初代から思いっきり深くはないものの、かといって浅くもなく、つまり、付かず離れずで続いています。もちろん、印象は悪くなく、まぁ、こんな感じ、そんな感じという意味合いも含めて、気さくなヤツって感じで捉えています。ですから、昨年末にデビューした3世代目モデルに対しても、あれこれを期待しつつ、試乗会場へと向かいました。ま、結論から言ってしまいますとね、エクストレイルでした。スタイル表現は随分と変えてきたなとは思いましたが、コンセプトというか、スタンスは変えていなかった。いや、それはラフロードも走れるという意味合いではなくって、パッケージングとか、使われ方の想定やら、そっちのほう。
 そういう視点からすると、それを特に強く感じたのはシートのあれこれ。シートそのものは、ゆとりを感じさせつつ、物理的に身体をしっかりとサポートし、そのポジションは、アップライトに座らせつつ、SUV的なパノラマ感を与えている、ってな具合に、そのまんま。いや、数値は微妙に変わっているでしょうけども、その座らせ方も含めてそのまんま。だから、シートに座ると、目の前に広がるインパネデザインは違えども、どことなく安心できる感じにあふれ、エクストレイルにお帰りなさいと言われているかのような印象を受けます。
 走りにおいてもそう。もちろん、今回は、全てが同じレベルでブラッシュアップされており、不満を抱かなくなったというところに新型のアドバンテージがありますが、根本的な味付けは変わっていません。たとえば、エンジン。2.0Lに集約されて大丈夫かなと思いつつも、パワーの面ではイマドキをクリアしています。そして、発進から加速へ移る際のフィーリングにイヤなトルク変動は見当たらず、実に良く躾けられたなといった印象を受けます。というところも、これまでどおり。で、アクセルを踏み込むと、高回転へ飛び込み、パワーを一気に引きだそうとするスタンスも変わらず。もちろん、そこでエンジンはうなりをあげますが、まぁ、許せる範囲かなってのも同じ。いや、そのトルク感やらパワー感は、もちろん先代よりもプラスされていますけども。で、シャシーはしなやかさを得ておりまして、狙いとしては従来と変わっていませんが、世代差という視点からすると、大きく進歩したところとも言えますな。分かりやすく言いますと、1.5世代分ぐらいアップした感がありますし、17インチタイヤをよくまぁ抑えましたなといった感もあります。
 ということで、スタイルさえ受け入れられるならば、旧型、旧旧型オーナーが乗り換えても、そこに違和感を強く覚えることなく、むしろ、進歩したその歩幅に感心するはずです。
 アドバンテージとして加わったサードシートについては、使う機会はないんじゃないかと思えるほどに、エマージェンシィと捉えておいたほうがいいです。写真はそのサードシートの足下ですが、この状態でセカンドシートバックを戻した(立てた)としても、セカンドシートの足下にゆとりがなくなる、それほどにタイトです。つまり、セカンドシートに座ろうと思ったら、サードシートには座れない(足を置けない)と。ただ、サードシート付きモデルの価値は別にあってですね、そのラゲッジから2列シートモデル用のフロアボードレールがなくなりすっきりするため、そういう観点から逆に選ぶ理由があったりもします。
 あと気になるのはライバルの存在でしょうかね。はっきり言ってしまえば、タイヤの接地感とステアリングフィールを含めたシャシー性能はCX-5のほうが上です。しかし、エクストレイルのこの緩さはSUVたるゆったり感と言えるものであり、そういう見方をするとエクストレイルのほうが上です。そこにフォレスターを混ぜたりすると、さらに比較しようもなく。それはそれぞれのキャラクターであり、似て非なるクルマと捉えていいと思います。つまり、どれを選んでも幸せになれると。この中で、自分で購入するならという前提で考えると、単純にバリューフォーマネーやら、走りやらを考えてと、んー、フォレスターを選びます。ただし、NA、6MTのボトムグレード限定。そう、アイサイトなし。いや、アイサイトは不要って話ではありません。スバル車では、アイサイトとMTの組み合わせは不可能ゆえ、ならば、MTを優先しますって意味合いです。
 話が脱線した。ま、新しいエクストレイルには、これまでに築いてきたエクストレイルらしさがありました。ただ、ひとつだけ、ラフロード性能については走っていないのでわかりません。開発陣によれば変えていないし、変わっていないそうです。新しく採用したシャシー制御技術もラフロード走行で恩恵を受けているそうです。でも、乗っていないからコメントできません。えっと、個人的な捉え方になりますが、以前にも書いたように、エクストレイルのラフロード性能とは、ヒルクライムは登れたとしても(SUVでも登れないモデルがある)、モーグルでボディをヒットさせてしまうクリアランス(数値ではない部分ね)ゆえに、たとえ本格的と言われたとしても、ランクルやジープと同じ“本格的”には並べられないと思っています。そんな話についてはまたの機会にしましょうかね。

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