#757 XVのデザインに惹かれるのは、そこに遊び心があるからって、話。

 レヴォーグのチーフデザイナーの小林氏は、インプレッサシリーズのチーフデザイナーでもあります。その昔は、BGのグランドワゴンやBG後期のGT-Bのデザインに携わった人でもあります。おっと、好きなデザインのクルマばかりだ。ということで、先日のレヴォーグプロトタイプの試乗会にて、話をうかがっていた時に、いろんなクルマのデザインの話になったんですが、その中でも、XVの話がとても興味深くありました。XVデザインの作業は、結果としてインプレッサと並行していたようで、それもまたデザインの完成度の高さにつながっているようです。XVとインプレッサの違いをデザインできていることも含めてね。
 で、このXV、愉しさを全面に打ち出したモデルですから、もちろん、デザインにも遊び心を表現したそうです。たとえば、ボディサイドのサイドクラッディングパネル。近頃のSUVでは、タイヤの存在を強調するためにホイールハウジングをブラックでなぞり、また腰高に見せるためにボディボトムをブラックアウトとする手法が定番となっています。ところが、これも各ブランド、各モデルで、表現方法が異なるもので、逆にいえば、このパート次第で、見え方も変わってくるものです。で、XVは、写真だと少々分かりにくいかもしれませんが、サイドクラッディング(ブラックの部分)の流れを途切ったり、そこでラインを変えたりと確信犯的に遊んでいます(2枚の写真にて赤い○で囲った部分。逆に同じ流れのままのデザインとしてしまうと、XVに求めたおもしろさが一気に消えてしまうんだそうです。あのライン、XVのデザインキーとなっているんですな。
 あとは、左の写真にて→で指した部分ですが、これは、SUVの定番デザインとは異なるアプローチを試みたところだそうです。一般的には、ボトムラインのブラックアウトはそのままに、フェンダーからのラインを強調するためにボディ同色部を拡大しつつ、リアバンパー部のセンターをブラックとするものですが、XVはでは、逆にリアバンパーセンター部をボディ同色として、それを強調するかのように、その左右にブラックのパネルをアクセントとして用いています。これもまた、デザインでの遊び心だそうで。おむつをはいたようなリアスタイルを避けたかったとは、小林氏の弁。なるほどね、なるほどなるほど。ただですね、だからといって、このXVは、デザインを最優先しているわけではないそうです。たとえば、ボディ色にせずにブラックアウトさせた目的は、タイヤからの石やらが跳ね上げられても、カバーしてくれる、目立たなくしてくれる意味合いが含まれます。ですから、まずはその機能を優先しながら、そこにこうしたデザインを描いたんだそうです。なるほどね、なるほど。
 XVが気になる人ってのは、こういうところに何かを感じる人たちなんでしょうね。つまり、感度が高い人たちであると。なるほどね。なるほど。そういう人向けのデザインを含めて、デザイナーってのは、やっぱりアンテナを常に張っていなければならいそうですし、何でも新しいモノに興味を持たねばならないそうです。なんて話を、小林氏所有のちょいと先をいってるサングラスを見ながら話していたのですが、ならば、デザインスタジオが都市部にないのはどうしてなのだ? と思いまして。そうなんです、生産工場の近くにあります。スバルは群馬県ですし、マツダは広島県ですな。いや、群馬や広島がダメという意味ではなくってね。で、訊いてみたらですね、都市部にあることは理想ではあることには違いない、と。そんな、何かを見つけたり、刺激を感じるために出かけることは、いつでもできることですが、でも、自動車のデザイナーというのは、生産現場で何かあった時にすぐに行ける距離にいて、対処できることも大切だそうで。なるほどね、なるほど。
 なんて話を小林氏としていたらですね、自動車系フリーライターたる醍醐味のひとつってのは、その製品を作った人の意図と想いを拾い上げることにあることを再認識。そんなXVに込めた想いを訊きながら、やっぱりインタビュアー向きであることを感じました。 

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