#726 完璧過ぎて、もはやうっとりだった、新型フォードフィエスタ。

 さて、先ほどエンバーゴが解けましたので、堂々と書きましょう。フォード・フィエスタの話。そうなんです、#710でマスクされたクルマはフィエスタでした。まぁ、輸入車の中で、常にベタ褒めをしているフォードゆえに、悪いわけはないと期待をもって参加してきました。ただ、こういう場合って、大概、期待値が高すぎる分、あれ? おや? を感じるものなんですが、ものなんですが……、新型フィエスタは、想像していたとおりで、期待以上たる性能まで、実は想像どおりってな感じでした。
 とにもかくにも、簡潔に述べるならばBセグメントというクオリティを超えていました。発進直後から1.0Lとは思えないトルクを発生させ、ダイレクト感を伴ってクルマをグイングインと加速させていきます。グイグイじゃなくて、グイングイン、と。そして、そんなパワーを受け止めるシャシーがしなやかったらありゃしないといった感じ。まぁ、言い換えればブッシュが大きめというフォードらしいテイストなのですが、それでいながら、そこに曖昧さがない、ない、ない、ない。特にリバウンドストローク時のフィーリングが極上で、豊かさと表現できるだけのフィーリングにあふれています。ハンドリングも秀逸でして、演出たるクイック感があるんですが、躾がしっかりとされているから、何も気にならない。といいますかね、おもしろさにあふれています。
 タイヤのグリップ力はそれほど高くないのですが、グリップ感は絶妙。タイヤが今どういう状態にあるかが、つぶさに伝わってくるため、とてもコントロールしやすい、しやすい。というか、そもそも、かなりのGでもアンダーを出すことなく、グイグイ曲がりすぎるほど。それでもって、ブレーキのタッチが実に美しい。そう、ブレーキが利くではなくって、ブレーキフィールが美しい。いい、じゃなくって、美しい。初期からさっと制動力が立ち上がったと思うと、そのままにググーと深まっていく。グッじゃなくって、ググーね。それはうっとりといった感のあるうつくしさですな。
 あとは、なんだけっか。リアシートをリクライニングさせないことや、アップライトに座らせるポジションやら、もう好印象だらけ。天晴れ、天晴れ。ただ、ひとつだけマイナス的なことをいうならば、エンジンフィーリングか。いや、いいんですが、いいんですけど、4000回転を超えるとトルクカットを意図的にしていまして、それが気になってしまう。4000回転まではドキドキを感じさせながら、そこから上での期待感を消し去っているかのような、そんなストーリーがとても残念。といっても、これはパワーを出せないのではなく、あえて出していないだけだし、何より、そんな走りをしている時って、すでに4000回転で、とんでもない速度域に達していますから、不満とはまた異なるものだったりするんですけどね。
 商品性としては、モノグレード展開としたことが挙げられますが、日本において、その商品性をブレさせたくなかったためだとか。見せかけの価格(グレード)ではなく、本質で勝負する。このクルマのアドバンテージであるスポーティをダイレクトに提供する(デザインも今回はそのベクトルだし)。そんなスタンスもまた最近のフォードらしさだと思いますし、とても好感のもてる戦略だと思います。んー、とってもいい。
 個人的には、年末年始で、このフィエスタと#722で紹介したルーテシアとを比較していたんですが、優劣は付けられないかな。やんちゃテイストなスポーティを望んでいるならばフィエスタ、オールマイティさを求めているならばルーテシア、って感じ。ただ、どっちもスポーティなんですけどもね。そして、単純に好き嫌いで選んだとしても、後悔はありません。
 それにしても、最近のフォード“も”、ブレが見当たりません。それは、ベタ褒めしたクーガにも言えますし、アメリカンフォードテイストを表現したモデルにも見られます。ちなみにですね、現在販売されている輸入車において、ヨシダイチオシはやっぱり、クーガ。あとは、同列でDS3カブリオ、320d、208XY、ルーテシアRSが並んでいます。パンダ、フィエスタとルーテシア(レギュラー)は、さらにこの次に続くかな。あ、ゴルフとA3は別格ゆえに、並べづらく、V40は、モデルによって評価が大きく変わってしまうし……、云々。もちろん、これらはカーオブザイヤーの投票とはつながらない話です。投票の時とは、評価軸が違いますので。

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