#621 勘違いの品質を見破るには、都会を離れなさい、って、ススメ。

 京野菜の中に、万願寺唐辛子ってあるじゃないですか。唐辛子といいながら、あんな辛さはなく、姿だけで(といっても縮尺は違って、10〜15cmほど)の野菜。って、意外に知られていないようで、話をするとぽかんとされることが多々あります。で、その万願寺唐辛子の種は、全国に散らばっており、京都以外でも生産・販売されているシーンをたまに目にします。呼び名は、甘南蛮とか、甘長とうがらしとか、それぞれ。
 八ヶ岳は小海でも作っている方々(こうみゆうきちゃんクラブ)がおり、また、カフェ花豆にて調理されることもあって、自分にはとても身近な存在になっています。なにより、旨いし。写真がそうなんですが、なんと、これ、スーパーにて納品されることを許されず、はねられたという品だそうです。その生育現場を見ている者としては、むしろ、モデルを見ているかのような、このまっすぐな整えられたかのようなスタイルにむしろ違和感を覚えてしまうのですが、はねられてしまったそうです。それはなぜか。たんに黒ずんでいるから。えっ?! と思ったのですが、スーパー基準ではダメなんだそうです。
 世間一般ではこういう基準のことを品質と呼びますが、食べ物における品質は、もっと違う観点にあるように思います。その姿形と味は、必ずしも一致関係ないのに。そう、野菜における品質とは、どうやら安全性や味ではなく、見た目にあるようで。そして、都会の人たちは、いつしか、それに狎れてしまっています。ですから、見た目に惑わされることなく、価格にダマされることなく、食の本質を見破る目が必要であることを、強く感じました。消費者がもっと賢くならないと。それには、都会を離れてみることがいちばん。いや、生活を移せといっているのではなくてね。
 そんな万願寺とうがらしですが、東京銀座の宮崎地鶏専門店にて、600円/本で提供されていました。そう、1本ね。もちろん、焼いてありましたが、って逆に焼いてあるだけ。いや、炭火で焼いてあって、しかも、炭も備長炭とかだろうけどさ。山ほど食しているものとしては、信じられない価格でしたが、まぁ、まっすぐで、黒ずみなどない緑一色の優等生だけが、こうして上京できるんでしょうな。
 ちなみに、京都のスーパーでは左の画像(ⓒT.ishikawa)のようにして売られているそうです。これ、家庭の食卓に上がる食材、って価格ですな。写真の山積み状態を見ているだけで、なぜだかワクワクしてくるんですが、万願寺とうがらしと、伏見とうがらしが、選別されて売られているって状況も、かなり魅惑的。そう、なんかそそられるんです。
 追伸:京都出身者な知人より、京野菜は京都では生産したものではないと教えられました。近隣の滋賀県で生産され、京都へと運ばれていたんだそうで。なるほどね。

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