#629 コンセプトは変えずとも、クルマたる進化は大きかった、ダイハツ・タント。

 そして、本日はダイハツ・タントの試乗会でした。目新しいという意味でのトピックは見えにくく、キープコンセプトかと思えるのですが、実はアドバンテージたるポイントを強くブラッシュアップしており、相当に力をいれたフルモデルチェンジとなっていました。
 ここでは印象に残ったことをひとつ、ふたつ書いておきましょうかね。まず、乗り味でしょうな。これまでのタントはいい意味で、重心高のあるモデルたる乗り味を持っていましたが、それを上手く消し去り、かといって機敏過ぎずといったバランスを作り上げてきました。はっきりいいまして、コーナリングのポテンシャルはハイレベル。リアサスがトーインへと導かれる動きを感じてしまうものの、旋回性能はとても高い。深くロールさせると、挙動にブレを与えることなく、駆け抜けていきます。って、これNAの話。といいますか、サスペンションはターボもNAも全く一緒だそうで。そう考えると、NAのシャシーバランスのよさに感心してしまいます。
 あとは、カスタムの方向性でしょうかね。上質感という狙いはこれまでと変わっていないものの、スポーティという味付けを強めていました。つまり、初代のムーヴカスタムのような乗り味とでもいいましょうかね。ですから、修復でつぎはぎになっているような路面では、ボディは揺すられ、乗り心地にも固さを感じます。もちろん、破綻していたり、突き上げがあったりはしませんが。上質感をカスタムと混同するのは、どうしたものかと思っていたもので、この方向修正は個人的には大賛成だったります。
 最近のダイハツは、軽自動車をただの実用車としてではなく、品質、質感を引き上げることで商品性を高めようとしています。そう、一連のムーヴ、ミライースをテコ入れし、さらにこのタントのフルモデルチェンジで、そのラインと方向性を明確にしました。大げさにいえば、ブランド性を確立してきました。ちなみに、この3車種で軽自動車の約9割を占めるとかで、ま、これでひと段落かと思いきや、実は残りの1割を切り捨てたわけではないとのこと。そう、出てくるそうです、あれが。変化球つけずにストレートにフルモデルチェンジして。
 これからの軽自動車、実用性だけではないという、そんな展開も愉しくなりそうな気配です。

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