#518 正攻法のクルマ作りを、いかに伝えるかにキーがあるeKシリーズ。

 そして、今日は三菱自動車のeKシリーズの試乗会でした。あれやこれやと、よく練られ、よく作り込まれていました。まぁ、当たり前です、後発となるわけですから。ドアを開けた瞬間にわかる上質感、と表現すると、なんかむずかゆいのですが、まぁ、そんなわかりやすさがあふれています。ただし、それは、キラキラやピカピカで作られた質感ではなく、モダンと表現できるもの。って、言い過ぎな気もしてきましたが、曇天なこともあって、アイボリー+ブラックのツートーンインテリアに、そんなことを感じました。シートも同様に。リアシートは、当たり前のように広いのですが、フロントシートとの距離はあっても、距離感はないといった感じで、昨日試乗した3シリーズグランツーリスモ的な感じを受けました。言い過ぎでしょうか。言い過ぎですね、きっと。
 走りは、女性に嫌われないレベルを表現したそうですが、クルマたる性能をキープしていますから、特別にあれ? を感じることはありませんでした。むしろ、生真面目さがあちこちに見られ、うーむを感じたところもありました。伝え方を間違えると、マイナスに捉えられかねないぞ、ってところ。たとえば、アクセル開度に対するパワーについても、じんわりと踏み込んでこそトルクが出てくるといったセッティングで、はっきりいって正攻法。だから、今時の軽乗用車と比較すると、アクセルペダルをふっと踏んだだけで、さっと走り出す、あのフィーリングはありません。ただし、さっと走り出しても、すっとアクセルペダルを戻す、いや、ペダルから足を離さなければならないクルマとは違い、このeKには、アクセルペダルを踏み込んだままに、じんわりと踏み加減を調整できるという、扱いやすさがあります。アクセルペダルを離せば、減速感がしっかりと顔を出しますし。そう、アドバンテージ、というか、正攻法。ただ、踏み込めとは言いづらくて伝わりにくいし、走らないと勘違いされやすい。ブレーキも同様。デリカD:5でも感じた、ペダルのストローク量が大きく、反応代を大きく確保され、アクセルペダル同様に、扱いやすさは、ほぼ同等といった感がありつつ、そこにはわかりやすさもあったような気がします。とはいえ、4輪ともにきれいにブレーキが掛かり、ボディがすっと沈み込んでいくフィーリングは、その優秀ぶりのひとつだったりします。
 なんてことを語ったら、特に、そのようなセッティングを狙ったわけではないとのこと。そう、当たり前のように、当たり前のことをしているだけなのだと。その手法、間違いではありませんが、やっぱり、どう伝えるか、そこにこのモデルのキーがあるような気がします。というか、三菱自動車そのものに言えることのような気もしますが。
 そうそう、トップグレード(ターボ)は、想像以上にスポーツしておらず、15インチサイズとの相性に質感がありまして意外にも好印象。何かを見せつけるのではなく、これで十分を、全面に、そして前面に打ち出さずに作り上げています。これもわかりにくさのひとつかもしれませんな。

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