#503 ゴルフ7はやはりゴルフだったけど、ゴルフじゃなかった、って話。

 事前に仕上がりがとてもいいとは聞いていました。でも、ここまでいいとは思いませんでした。というわけで、日本上陸を果たしたゴルフ7です。まず、日本に入ってきたのはハイラインとコンフォートラインの2グレードですが、これが2機種と表現したくなるほどに、違いを見せていました。両車の違いは、装備はもちろんですが、ハードウェア的にはリアサスとエンジン(排気量)にもあります。ところが、この両車、アッパーとスタンダードという表現では足りないほどの、違いがそこにはありました。
 簡単にいいますと、ハイラインはとてつもなく質感が高かった。それは走り出しから分かるもので、タイヤの接地性がすこぶる高く、わかりやすくいうと路面に吸い付いて離さないといったフィーリングがあります。そして、17インチ(45扁平)タイヤながら、路面からの衝撃をすべてシャシーで受け止め、ボディには伝えて来ず。質感を語る以前に、クルマとしての完成度がとても高く、まさにいやはやといった感じ。で、快適性では、遮音性が高いことが強烈な印象として残っています。というのも、試乗会はゲリラ豪雨手前的な雨が降ったり止んだりの中でしたが、スプラッシュノイズはキャビンに届かず、窓を打つ雨の音が聞こえてくる程度。それなのにエンジンサウンドが耳に届くという、不思議な仕立てもなかなか興味深かったですな。エンジンパワーとフィーリング? もう、語るまでもなく。ブレーキからシートまで、すべてが同じ方向を向いていて、ケチのつけようがありませんでした。そう、これまでのゴルフの延長線上にありながら、もはや別のクルマといった印象すら受けました。
 では、一方のコンフォートラインはといえば、従来のゴルフ路線をブラッシュアップした感にあふれていました。ただ、どうしてもハイラインと比較してしまう。そして、質感に物足りなさを感じてしまう。たとえば、タイヤの転がりひとつ取っても、わずかなバタバタがあり、特にリアサスの影響もあって、フロントと比較するとリアの乗り心地におや? を感じてしまいます。その点だけをピックアップすると、ゴルフ6のリアシートの乗り味には、豊かさがあふれていましたなと、ついつい回想してしまいます。
 だからといって、コンフォートラインやトレンドラインをゴルフの廉価版だとは捉えないほうがいいと思います。これら2グレードは、正常進化したゴルフでありスタンダードと考え、一方のハイラインはスペシャルに仕立てられたハイエンドモデルとして捉えると、いいかなと。そう、これまでのゴルフのグレード体系をそのままに当てはめないほうがいい。ただ、そう考えると、ハイラインの299万円は安すぎるとも言えるんですが。
 そうそう、全グレードの共通点として、DSGとアイドリングストップは大幅に改善されており、こちらもケチのつけようがなくといった感じになっていました。ただ一点、ケチをつけるとしたら、マルチインフォメーションモニタに新採用された日本語書体が、中国語書体ベースになってしまっていること(画像下)。明朝体であることも手伝って、微妙に異なる表現に、あれ? を覚えてしまいます。これ、とっても惜しい点。
 なんだかんいいながらも、久しぶりに、驚きあふれる試乗会でした。

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