#438 あれやこれやは過去なのに表現方法は変わらず、でも最新というボルボV40。

 本日発表になったボルボV40ですが、今回は、ブイヨンジューではなく、ヴィフォーティと呼ぶそうです。すでに試乗済みだったのですが、これがとてもいい、とんでもなくいい。というわけで、今日の情報解禁まで語りたくて仕方なかった、そんなモデルです。そもそも、C30あたりからのボルボは好感触なのですが、それは、マツダを含めたフォードグループとしてのスタンスがようやく確立され、ブランドに表現できたからかと感じていました。といいつつ、現在ではグループは解消されていますが。ま、そんな大人な事情はともかくとして、最近のボルボはその仕上がりがとてもいいことは間違いありません。ボルボ流の味付けはどこにあるかというと、違和感が存在しない、言い訳がないという、不可思議な感覚にあふれていることでしょうかね。何が凄いわけではない、でも、安心。あえて分かりやすく表現するならば、なんとなくいいって、ことかと。
 そんなボルボテイストに加えて、日本に導入されたこのV40はパワーユニットを含めて、スポーティを謳っていますし、アッパークラス感を大切にした装備(演出)がトピックとなっています。ですから、日本ではプレミアムテイストとスポーティを併せ持ったという表現をされかねない恐れもありますが、まぁ、分かりやすさと言ってしまえば、それも否定はできません。
 さて、インプレッション。試乗前は悪くはないだろうけど、ここまでいいとは思わなかったというほどの衝撃を受けました。たとえば、真っ直ぐ走る。これって、クルマとしてはある意味、当たり前に思えるものの、実のところ難しい性能だったりします。このV40は、普段はそれを感じさせないというクールなスタンスにあふれていますが、それを探った試乗を行う、もしくは意識させられるシーンに出会うと、真っ直ぐ走ることに感激を覚えます。今回の試乗会は、とんでもなく風の強い日で、風の影響をもろに受けてしまう東京湾アクアラインではヨタヨタと走るクルマばかり。そんな中、何事もないかのように走ってしまう。そう、自らが真っ直ぐ走り、さらには外乱に左右されないという真っ直ぐ走る感にあふれています。この当たり前たる性能と、それがもたらす安心感がボルボたる感性なのです。
 そのテイストは、もちろん、安全性能にも反映されています。V40紹介記事のトピックとして、目立つがゆえに歩行者保護エアバッグが挙げられることが多いと推測されますが、それは装備のひとつに過ぎません。たとえば、レーンキーピングエイドと呼ばれる車線逸脱警告とコントロールを行うシステムは、たんなるひとつの機能として捉えないほうがいいです。
危なかったから、フォローしておいたから、そんなフィーリングで、介入された感はなく、その警告と修整に嫌味を感じないところに、アドバンテージがあります。つまり、これが、ほかのブランドでの同機能との違いとなっています。
 こうしたボルボらしさは、自動車紹介記事の少ない文字数では表現しきれない部分であり、ついついスポーティとか安全とか、快適という、簡潔な単語ばかりが使われてしまうもの。だから、ほかブランドとの差別化がしにくい、分かりにくいというジレンマがそこにはあります。#429にて書いたメルセデスベンツにも共通することですな。
 ブランドを表現するに、最新ばかりを並べ立てる必要性はない。そんなスタンスこそが、このV40のアドバンテージだと思います。もちろん、その価格戦略も含めて。

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