#428 躾け方はいろいろであっても、豪快さは変わらないイマドキアメリカンV8。

 次は、最新のアメリカンV8な話。最近は、燃費性能に有利な小排気量ながら、不足ないパワーを発生させ、そのフィーリングにゆとりまで与えたエンジンへの注目が集まっています。って逆にいえば、大排気量エンジンの存在価値はどこにあるのかって流れになりつつあります。何を隠そうもなにも、何も隠していませんが、自らV8/4.7Lのグランドチェロキーに乗り、乗り続ける言い訳をするためかのように、ここでも、存在価値があると書いてはいますが、それを痛感しています。で、うちのV8は、10年前設計ですが、イマドキのアメリカンV8はどうしているのか。どうなっているのか、ではなくって、どうしているのか。そんな観点から、2台のV8エンジン搭載モデルに試乗しました。
 最初は、マスタング。アメリカにおけるこのクラス(スポーツカーに限らず)のスタンダードエンジンはV6クラスですが、そこにかつてのような言い訳だらけの物足りなさは見当たらず。逆にメインだったV8はV6に追いやられるかのように、プレミアム演出の材料的な存在となっています。このラインナップは今において正論ですが、台数を望めない日本においては、そのプレミアム感を重視したラインナップになっています。これも、正論。というわけで、まさに特別であるV8ですが、そのフィーリングもこれでもかと特別感を表現していました。大排気量たるトルク感やら、吹け上がり感だけではなく、そこにじゃじゃ馬ぶりを演出。そう、演出しています。そういう意味では、雑然とした感じがあるんですが、かつてのV8に憧れを知っている者にとってはたまらない魅力になっています。といっても、それは扱いづらさになっていませんから、そんな心配はしなくて大丈夫。ちなみに、排気量は5.0L。
 もう1台は、グランドチェロキーSRT。グラチェロも本国ではマスタングと同じスタンスでV6とV8をラインナップしていますが、日本仕様はV6のみ。で、この度V8も導入されましたが、それはSRTというスポーティバージョンとしてでした。ちなみに排気量は6.4L。そのキャラクターと排気量から、マスタング以上のとてつもない暴力的なパワーをイメージしますが、これがジェントル。そこには、荒々しさはなく、よく躾けられた豪快さがあふれていました。乗り味については、快適さに物足りなさを感じるところもありますが、295なんてサイズのタイヤを抑え込んでいることが見えてくると、不満よりも、感心のほうが強くなります。まぁ、逆にいえば、荒々しさに物足りなさがあるとも言えるのですが。
 というように、アメリカンV8はスペシャル感を身につけて、その存在をむしろ高めているような気がします。それは憧れというよりは、懐かしさに近いものなのかもしれません。
 ただ、グラチェロの導入はいまさら感があるのも事実。本国では、2014年モデルが発表され、フェイスリフトやら8速AT採用といったトピックがあふれてます。このタイミングで、あえて2013年モデルに手を出せるのか。うーむ。

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