#414 クルマはデザインありきをダイレクトに表現している、ルノー・メガーヌ。

 まぁ、クルマに限らず、デザインってのは善し悪しはないと思いつつ、秀逸であるかどうかは、あると感じています。なんていうんですかね、理由など必要のない、ダイレクトに訴えかけるモノがあるかないか。それは好き嫌いとはまた異なるものだと思っています。自分はアート系の人間ではありませんが、デザインに対してはそう考えているので、デザインについて頭ごなしに好き嫌いを語られてしまうと、その後の会話がぎくしゃくとして続かなかったりします。そもそもクルマをアートとして捉えるかって話もありますけど、そこにはアート的センスが込められた作品もありますし、中には実用品的なポジションのクルマもありますから、一概に云々は言えないように思いますが。
 さて、で、ルノーのメガーヌですな。なんていうんでしょうかね、好き嫌いは別にして、心に訴えかけるデザインとはなんぞやを知っている人がデザインしていることだけはすぐに理解できました。個々を見ていくと、インパネやらグリルやらにチープさはあります。でも、夕陽の中で眺めていたら、それを感じさせませんし、こうしてついつい写真を撮りたくなる。ってことを考え、あれやこれやと撮影していると、デザインがどんどん自分の中にリンクしていくのが感じられますから、これがまた不思議。さらには、走りまでそこにリンクしていく。いや、無理矢理つながるというよりは、すべてのベクトルが同じ方向を向いていて、その統一感に気付くと、軽いショックを受けるとでもいいましょうかね。チープさを含めて、妥協はたくさん見られます、でも、バランスがとてもいい。以前、ルノーにて、そこまで計算していると訊きました。クルマはデザインありきと言いますが、それは見た目だけを指していません。デザインがクルマのすべてを表現していること。だから、クルマはデザインありき、なのですな。
 で、その走り。このGTラインは、日本仕様的な取って付けた感はなく、ルノースポールが手がけたシャシーを特徴としたスポーティモデルでして、これが破綻していなかった。たしかにシャシーは締め上げられており、パフォーマンスレベルは高くなっており、その分、日常では体が揺すられるという非フラット感がある。ある、あるんですが、気にならない。同乗者がいたら気になるかな。その加減がとてもいい。ステアリングも先代のような電動パワステフィールは消え去り、好印象。2.0LNAエンジンにCVTという組み合わせも、トルク感よりはGT的な快適かつ軽快さを備えていて、これまた好印象。なんていうんですかね、かつてのV6/3.0L的。いや、V6らしいエンジンの滑らかさだけは敵わないのですが、CVTを上手く使ってそれを補っている感じがありまして、ね。とにかく、ハードウェアを使いこなし、そしてルノーを上手く表現している、と感じました。  実は、現行型メガーヌについては、R.S.は好印象ってことは以前語りましたが、このモデルに対して、試乗するまでは全く期待していませんでした。ところが、写真を撮りたくなる魅惑から、いつしかロングドライブへと誘われ、そして、そのすべてが心に強く残る。簡潔に表現すれば、行くアテのないままにドライブへと出掛けてしまいたくなるクルマ。こういう誘導ができるクルマ、感性に訴えかけるクルマは、国産車には見当たりません。良質なクルマはたくさんあるんですが。

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